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少女「お父さん、なんで?」

1: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)13:33:48 ID:cHu

少女「私のお父さんは優しい」

少女「お母さんは早くに死んじゃって、片親なんだけど」

少女「私が悪い事をしても絶対に手をあげないし、欲しいと言ったものはだいたい買ってくれる」

少女「でも、でもね……たまに、なんか変なんだ」

引用元:open2ch
3: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)13:38:00 ID:cHu

少女「……ただいまー」

お父さん「おかえりー。はい、おやつ」

少女「……また桃?」

お父さん「こらこら、桃を舐めちゃいけないぞぅ。美味しいし、糖分は頭を動かすエネルギーになるんだぞ」

少女「でもでも、私が幼稚園の頃からずっと桃だよね……? 」

……これが一つめ。
おやつは決まって桃。
もしくはくだもの。変わってもりんごとか洋梨ばっかりなんだ。

少女「友達がさ、少女ちゃん桃の匂いがするー。いい匂いー。って。汗とか肌までなんだか甘ったるくなっちゃったよ、おかげで」カプッ

お父さん「いいじゃないの。いい匂いのする女の人が嫌いな人なんていないんだからさ」


7: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)13:43:50 ID:cHu

少女「う……ま、まあそうだけどさ。そろそろ飽きたっていうか……」

お父さん「わがまま言わない。もう小学五年生なんだから」

少女「……女の人は年取ってからわがままが増えるんだって学校の先生が言ってたもん! べつにいいもん!」

うん、あんまり変じゃない?
私も普段の目線にたって考えてみると確かにそうなんだけどさ。よおくかんがえるとやっぱり違和感があるんだ。
なんだろう……こだわってるっていうか、よくわからない所が、怖い。

少女(でもももおいし……)カプカプ

お父さん「今日の晩ご飯は豆腐ハンバーグと野菜カレーぐらいしか作れないけど」

少女「……いつも似たようなのばっかりじゃないの、お父さん」

お父さん「うるさいなァ、男だからあんまりレパートリーが無いのは許せよ。お母さんはそれこそレストラン顔負けのご飯たっくさん作れたんだけどなぁ……うむむ」


8: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)13:50:52 ID:cHu

これが二つ目。
料理のレパートリーが少ない。
作れたとしても、やたらヘルシーで味気ないものしか作れない。そのくせ外食とかはあんまりしない。
家庭科の先生に聞いたら、……まあその……おしっことか……大きい方がいっぱい出る料理をお父さんは選んで作ってるみたいだって言ってた。
少女ちゃんは可愛いし、お父さんは美容に気を使ってくれているのよ、って

少女「……まぁいいや、豆腐ハンバーグ」

お父さん「おまかせあれ。あと先にお風呂入っちゃいなー……あぁそうだ。お父さんも一緒に入っちゃおうかな?」

少女「……えー?」

お父さん「えー?」

少女「いや」

お父さん「悲しいなァ」

少女「来ないでね」

お父さん「はいはい」

……やっぱり、なんだか怖い。
早くお風呂に入って、宿題を片付けて、テレビを見よう。そうすればきっとすぐに忘れてるだろうし。
扉を開く私の背中には……いつも通りのお父さんの視線が当たってくる。
それだけなのに、なんでこんなに怖いんだろう? うまく言葉にできない。

お父さん「……」


10: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)14:00:06 ID:cHu

お父さん「……ダメだなぁ、やっぱりちょっと甘かったかな……」

お父さん「そろそろ、自我が芽生えてきちゃう頃か……ダメだなぁ。全くダメだ。あんな姿は見たくないな」

お父さん「―――――――」ニヤ



私はお風呂が好き。
あったかいし、お風呂あがりのしめっぽい香りがとても好き。だからつい長湯してお父さんに怒られる。
ガス代だって馬鹿にならんのだぞ! って。

少女「……ふぅ」

少女「お父さん、一緒にお風呂入りたかったのかなー……」

そうだよね。
お母さんの忘れ形見だもん。
愛されてるって言うのはよく分かるし私もそれは嫌じゃない。だから今更だけど、お風呂を断って後悔してる。
お父さんが身体を洗ってくれるととても気持ちいいし、身体がぼかぽかするし、あぁ、本当に何で断ったのか。
来てくれないかな。タオル置いておくぞとか言って、そう言えばタオルなかったし呼べば来るよね。

お父さん「少女ータオルー」ガラッ

少女「!おっ、お父さん!」バタン

お父さん「うおっ……なんだい。そろそろ裸を見られるのも嫌なのかと思ってたけどそうでもない?」

少女「そんなことないもん! いやだもん! で、でもその……体洗って欲しいなって……思いまして……」

お父さん「……いいよ、ほら、椅子座って」


12: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)14:08:19 ID:cHu

少女「はいっ」ストン

お父さん「まずはどこから洗って欲しいのかなー?」プシュプシュ

少女「えっとじゃあ……お腹から!」

お父さん「はい両手上げてー」

うん、やっぱり気持ちいい、
手つきとかでお肌を傷つけないようにって言うのが凄く伝わってくる。
胸も優しく洗ってくれるし……あんまり普通じゃないのは解ってるけど、自分で洗うより気持ちいいの。だからいいの。身体がぽかぽかしてきた……。

お父さん「ほんとに桃の匂いがするねぇ。近くに来るとよくわかる」

お父さん「……ここは順調か」ボソッ

少女「んぅ……お父さん、もうちょっとお腹洗って?」

お父さん「いや、これ以上洗うところないけど……」

少女「いいの。足りないの」

お父さん「……やれやれ」

……何だか今日は変だ。
小学五年生になって二ヶ月。この年初めてお父さんに身体を洗ってもらったんだけど……気持ちいいのが前より増してるきがする。しょっちゅう洗ってもらってた時より、今は気持ちいい。
何だろうこれ……身体が震えちゃうし……恥ずかしい……なんだかほんとに頭もぼうっとしてきたし……。

お父さん「……雌っぽくなって来たなぁ」ボソッ


16: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)14:12:11 ID:cHu

少女「……っ」

なにか、きた。
唇をかみしめてそれに耐える。
お父さんはお腹と胸を念入りに洗ってくれてる、その合間のよくわからない熱だった。体が震えて、緩まって。
おしっこが……出た……。

少女「……ッ……」

ばれてないよね。
お父さんは後ろにいるし、股を閉じたから水音はそれほどしない。水滴ぐらいだ。だからへいきだとおもう


21: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)14:21:38 ID:cHu

少女「……ふっ……はぁ……」

前にある鏡で自分の顔を見たら、なんだか凄く恥ずかしくなった。目には涙が浮いてて顔も真っ赤で、息が荒い。
とろけてるって言うのが凄く似合う、そんな顔になっていたから。

お父さん「少女、どうかした?」

少女「なんでもないっ! もういい!」

お父さん「お、おい――――」

少女「……っ……んんっ……」

お父さんを追い出して、シャワーで泡を落としていく。擽ったいような、あったかいような、指で体をなでる度にそんな感覚が体全体に広がる。
気持ちいい。すごく気持ちいい。
恥ずかしいけど……それも気持ちいい。
なんだろうこれ。私、何か変だ。
もっと気持ちよくなりたい。もっとぽかぽかしたい。もっと、もっと。
湯船に入り、ぎゅっと体を縮こませる。
そうすると、どこが熱いのかはっきりとわかった。お股がすごく熱い。

少女「……んっ……」

……えっと、お……またの筋を指で撫でてみると、思わず体が跳ねた。
結局、ずっと指でいじってて長風呂になって、上がった頃にはご飯ができていた。
お父さんは凄く怒った。


22: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)14:30:25 ID:cHu



風呂場。

何かが響いている。
正確には、何かをすする音が響いている。ぞるぞる、ぞるぞると。
男は湯船に顔を入れ、そこに貯まるお湯を一心不乱に啜っていた。目を血走らせ息継ぎすら忘れてその作業に没頭していた。やがて口を離し、ふう、と息をつくその顔は、まるでとてつもないご馳走を味わった後の少年の様。

お父さん「イイ感じに甘くなったなぁ。ちょっと妙だと思ったから覗いてみたらやっぱりオナニーしてやがった。何れは女性ホルモンをたっぷり出してもらう必要があるから胸を弄ってたのが良かったのかな」

もう少し、もう少しだ。
そう男は呟いて、風呂場の床においてあった灯油缶にスポイトを差し込み、水を吸い取り始めた。


23: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)14:39:08 ID:cHu

朝である。
少友「少女ちゃん、おはよっ!」

少女「あ、友ちゃんおはよー」

学校の廊下で友ちゃんと会った。
実は私のお父さんの妹さん――つまり叔母さんの子供で、従姉妹にあたる。
学校から家が遠くていつも車で通っているぐらいだからなかなか遊ぶ機会はないんだけど、私が学校で話すのはこの友ちゃんぐらいなんだよね、実は。
……ぼっちですとも。ええ。
ちなみに友ちゃんは、運動が得意で勉強は微妙。私はその逆。だからバランスがいいって言えばそうなのかも。

少友「今日の給食、カレーだよぅ。待ち遠しいね。早く食べたいねぇ」

少女「んん……お父さんヘルシーなのしか作ってくれないし、私も正直結構楽しみかな」

少友「私のお母さんが怒ってたよぅ。好きなもの食べさせてあげないとか兄さんったら信じられない! って。そっちが良ければご飯ご馳走するからいつでもおいでって」

少女「あはは……相変わらずおばさん、子供大好きなんだねぇ」

近所の子供を自宅に呼んでお菓子を作って上げたりしてるのは、よく聴く。

少友「それもあるけど、少女ちゃんは別格みたい。……あんまり大きな声じゃ言えないけど、叔父さんの事あんまり信用してないみたい」

少女「え……なんでぇ? ご飯はたしかに微妙だけど、基本的にはすごく優しいよ?」

少友「……ん。ならいいんだけどさ」


24: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:00:47 ID:cHu

なんだか、今日の友ちゃんは変だ。

少女「……どうしたの?」




少友「ん……――桃の匂い、濃くなったなって」



少女「ただいまぁー……」
カレー美味しかった。
今日の学校の感想、正直これだけです。だって、授業の時以外はトイレで本読んでるかこっそりゲームしてるかだもん仕方ないよ。正直、つまらない。でもこれ、お父さんのお願いでもあるんだ。少友ちゃん意外とはあまり話さず静かに学校生活を贈って欲しいって。
なんでって聴いたら、お母さんの忘れ形見だからあんまりトラブルの種とかを抱え込んで欲しくないって。
友達=トラブルの種っていうのはちょっとびっくりしたけど、よくよく考えてみるとそれほど間違ってもいないし何となくずっと守ってる。友達が友ちゃんぐらいなのは、これが理由。
お父さん「おかえりー。はい、おやつ」

少女「安定の桃ね……あ、今日はりんごなのか。やったぁ」
お父さん「うん、塩水につけてあるから美味しいぞぅ……ああそうだ、少女、お前――――」

お父さん「サプリメントとか、好き?」


25: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:02:26 ID:cHu


少女「……さぷりめんと?」

お父さん「栄養がぎゅっと詰まったおくすりのことだよ」

少女「いや、それはしってるけど。いきなりどうしたの?」シャクシャク

お父さん「……最近な、色んな所で聴くんだよ。今の子供の食生活じゃ将来糖尿病になる確率が高いって」

お父さん「心配だから、そういう意味でもちょっと対策しようかなって」

少女「……ふむぅ」

そういうことなら……いいかな。

少女「ちょっとちょうだい?」
お父さん「はいよ」

渡されたサプリメントの容器には何も書いていなかった。普通、物の名前とかいろいろ書いてありそうな物だけど。
開けてみると、うっすらピンク色のタブレットがいっぱい入っている。口に入れてみるとほんのり甘くて、その中にたまに薬っぽい味が混ざる。

少女「……これじゃ余計糖尿病とかになっちゃうんじゃないの?」コリコリ

お父さん「それは医学用甘味料だから平気なんだよ、少女。ほら、シロップで甘くしてあるかぜぐすりとかあるだろう? アレと同じなんだ」


26: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:03:13 ID:cHu


少女「ふぅん……」

……あれ?
なんだか、説明してくれてるお父さんの顔が二重に見える。それにあしがふわふわして舌がうまくまわらない。
眠いとかじゃない。これは一体何なんだろう? とりあえず、ここから離れないとなんだかまずい気がする。
……お腹が、熱い。

少女「とっ、といれ」

お父さん「いってらっしゃい」ニヤァ



少女「……っふ、ん、んぁ……」

気持ちいい。
気持ちいい。
気持ちいい。
気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい。
トイレに入ってすぐ、私の手はお股に向かった。ほとんど、何を考えることもなく、自然とそこに手を当てて。
弄っていた。昨日はお風呂の中だったからわからなかったけど、おまんこからおしっことはまた違うなにかが出てきている。試しに指をその穴に入れてみたら今日の給食とか宿題とかどうでもよくなるぐらい気持ちよくて。
手が止まらない。
痛いぐらい乱暴に〝そこ〟を掻き回し始めて、もう何分たったかも解らない
どうでもいい。


29: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:08:23 ID:cHu

いまはきもちいいのがいっぱい欲しい

少女「ふぅ、ん、ぁ――きた、きたぁ、あついのきたぁ。いく。なんれぇ? きょうあつい、あついよぉ」

少女「ふぁぁああっ! んぅっ、んぅうううううっ!」

まっしろ。
ほんと、ぜんぶまっしろ。
からだがしぜんとのけぞって、くちからよだれがたれるのもかまわずにのぼってくるあついのをわたしはつっこんでいるゆびでほしがってた。
そとにこえがもれてるんじゃないかとかもうどうでもよくて。いっかいじゃたりなくて、もっとあついのほしくて。

……結局、お父さんがトイレにはいってくるまでずっとわたしはそこをいじってあついのを感じていた。
おとうさんの顔を見てみても特に妙なところはなかったし、きっと声も聞こえていなかったのだろう。そう思いたい。

……指を舐めてみたら、甘かった。


30: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:11:11 ID:cHu



お父さん「――バレバレなんだよなぁ」

お父さん「あの薬、予想以上の効きでびっくりした。これからも定期的に食べさせていっぱい女性ホルモンを分泌してもらわないとなぁ……」

お父さん「ふ」

お父さん「ふふふふふふふふ」



32: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:23:26 ID:cHu



パソコンの使い方をそれとなく覚えていた私は、お風呂に入った後にここまでで感じたよくわからないことを調べた。何でおまたを触るとあんなに気持ちよかったんだろう、とか。
おなにー、って言うらしい。少年少女では特に珍しいことでもなく、みんな口に出してないだけでやっている物だそうだ――――良かった、別に頭が変になっちゃったとかじゃなくて。

少女「……」シャットダウン

少女「……きもちよかったなぁ」

お父さんは今お風呂に入ってる。
だから、そんな言葉も自然と口にできた。
そういえば、一回目のあついのはお父さんに胸を洗ってもらった後に来たんだっけ。つまり、胸を触りながらやればもっと気持ちよかったりするのかな。
……そう考える合間にも、自然とパジャマの内側に手を入れて、胸を触っていた。

少女「……んっ、んん……?」

気持ちいい、けど、なんだろう。
おまんことは違う、もどかしい気持ちよさだ。お風呂上りでしめったそこを指でさわっていると、だんだんと固くしこってきた。……つまんでみると、あついのに似た感じが体を走って思わずびくんとふるえてしまう。


33: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:28:58 ID:cHu

でもやっぱり、なんだか物足りない。
あのサプリメントを食べた後のおなにーとは次元が違う。一個下だ。
あれが関係しているのかな。体が健康になると、自然とこういうのの回数も増えてくるのかな。
なんだかパジャマが邪魔になってきたので脱ぎ捨てながら、私はソファの上に寝転がった。
おまんこをいじりながらおっぱいのしこりを指で転がして、ようやくあのときの気持ちよさにちょっと近付いた。
早く終わらせなきゃ……お義父さん帰ってきちゃう……。

お父さん「少女ー? おるー?」

少女「ふぁいっ!?」

反射的に起きて、ソファの背もたれに背をあずけた。お父さんに背を向ける形になるから、前は見えてない筈。

お父さん「……なんで裸?」

少女「あついんだもんっ! ばか!」

お父さん「お、おう?」

そういう間にも指が止まらない。
うう、お父さん帰ってきてるのに。ばれちゃいそうな恐怖が逆に気持ちいい感じを増やしてる感じがする。


34: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:35:32 ID:cHu

も、もうやめっ! 宿題しなきゃ!
慌ててパジャマの上を着て、ランドセルを開けて筆箱とプリントを出して。
一問目に鉛筆を当てた所で、おしりにはめてあるキャップのいぼいぼが目に入った……これいれてかき回したら気持ちいいのかなぁ、いいのかなぁ。
うう、だめだ。こんな気分で宿題なんかできたもんじゃない。五問ぐらい解いて後は明日学校でやろう。



少友「少女ちゃん、おはよっ!」

少女「友ちゃん……おはよう……」

少友「なんかクマすごいよ? 昨日寝れなかったの?」

少女「うん……ちょっと……それと宿題やって来たなら映させてくれないかなぁ……?」

少友「……」

少女「……友ちゃん?」

少友「ううん、別に。少女ちゃん朝ごはんは桃?」

少女「え? ちがうよ? トーストと海藻サラダ」

少友「そっか、ごめん。……別に嫌な匂いじゃないのに、なんでこんなに不安になるんだろう?」ボソッ


35: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:43:59 ID:cHu

少友「……はい、プリント」

少女「……? ありがとうね」



昼。

トイレの中。

少友「……うん、なんだか変。最近凄く桃の匂いがしてて……別にそれ自体は嫌じゃないんだけど、凄くそれが不安になるの」

少女は携帯を耳に当て、疲れたような顔でそう通話口に語っていた。

少友「うん……それとね、その匂いを嗅いだ男子とかが……その……あそこを大きくしてたり……先生までなんだか気持ち悪い目を向けてたりして……少女ちゃんはそれに気づいてないの」

少友「……うん、うん。解った。じゃあね、お母さん」ぴっ

少友「……」

少友「少女ちゃん……」



叔母「少女ちゃん、今日はうちにおいで」

いつも通り、校門をくぐって帰ろうとしたら、友ちゃんを車に乗せた叔母さんがそう言ってきて、驚いた。

少女「えっ……?」

叔母「兄さんには話を通してあるから、ほら。美味しいものたまには食べたいでしょう? あの馬鹿はとりあえず体にいいもの食べさせておけば言い、みたいな考えなんだから」

叔母さんは、すごく綺麗な人だ。
服もUNIQLOのシンプルなヤツなのにそれが逆に似合う。地味って言うのとは違くて、スーツとか着るとよりかっこよくなったりするから驚きだ。
なんでも、昔は警察のとくしゅなんちゃらで働いていたらしいけど……?


36: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:51:56 ID:cHu

叔母「なんにせよバランスが大事って事解ってないのよ、アレは――というわけで」

少女「……う、うん……」

ご飯に誘われたことそのものはすごく嬉しい、けど、家に帰ってあのサプリメントを食べられないのがなんとなく残念な感じがする。……あと、おなにーができないのも。

叔母「……」

少女「?」

叔母さんの目が、険しい。
助手席が開き、手招きされたので乗り込むと、鼻が近づいて、すん、と私の匂いを嗅いだ。なんだろう?

叔母「……少女ちゃん。他人の家だからどうこう言わなかったけどさ、兄さんが貴方にももを食べさせてるのはいつから? 前本人に聴いてみたら、べつに適当にやってる、って聴いたんだけど」

車が走り出す中、おばさんは窓を開いてなにかの匂いを振り払うように煙草に火をつけた。私といえば、おばさんの言葉にほんの少し驚いていた。
適当にやってる? なんだろう、すごい違和感がある。お父さんがおやつでくれるのはだいたい桃で、珍しくてりんごが精々だ。適当にやってるという言葉はあんまりにそぐわない。

少女「えっと、幼稚園の頃から」

とはいえ、この場でなにかわかるわけもなく、私は覚えてる限りのことを伝えた。叔母さんの目が更に険しくなって、煙草のフィルターを噛み潰している。怒っている? 何だか怖い。


37: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)15:58:39 ID:cHu

叔母「……わかった、もうイイわ」

叔母さんは、そう言って、一度途中のコンビニで止まった。窓から見ていると、どうやら何処かに電話をかけているようだけれど……やっぱりその顔は凄く険しくて、怖い。

少女「友ちゃん、私なにかしちゃったのかな」

少友「……違うと思う」

少女「でも、おばさん怒ってる」

少友「少女ちゃんに怒ってるんじゃない。わたしにはよくわからないけど、少なくともそれは確かだよ」

ようやく気付いた。
なんだか、友ちゃんも顔色が悪い。
そう思ってる間にも友ちゃんは助手席のリクライニングを下げて、私の体に抱きついて来た。どうしたのだろう?
身体は震えている。電話をかけるおばさんの顔は凄く怖い。なんだかここは今なにかが変だと、そう感じた。

……サプリメント、食べたい。

そんな声が、自分の頭の奥で響いた気がしたけど、震える友ちゃんの体を抱きしめているので手一杯で、それに意識を向ける暇はなかった。
戻ってきた叔母さんの第一声で私は更に驚愕することになる。


38: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:03:50 ID:cHu

叔母さん「あのね少女ちゃん。兄さん用事ができちゃったんだって。だから、暫くは家で寝泊まりしよう」

そんな、いきなりだ。
あの電話をかけた合間に一体何があったのか。お父さんは昨日、そんなこと一言もいってなかったのに。

叔母「本当に急な用なんだって。ごめんねって謝ってたわ」

少女「そんなぁ……」

少友「お母さん……!」

叔母「少し静かにね、友……それと、おうちについたら一つだけ話したいことがあるの。よく聴いて」

少女「……?」

叔母さん「ウチの一族。兄さんと私が住んでいた家のこと――江戸時代まで遡る必要があるけど、そこは我慢して」


40: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:08:23 ID:cHu

叔母さん宅

叔母さん「……それじゃ、話すわね」

友ちゃんを先にお風呂にやって、私と叔母さんは顔を突き合わせて話すことになった。叔母さんの傍らにはなにかの資料を纏めたクリアファイルがある。

少女「はい……」

叔母さん「まずウチの一族の一番最初。原点は江戸時代。ここ迄はさっき車の中で話したわよね?」

少女「はい」

叔母さん「少女ちゃんは、〝飢饉〟って知ってるかしら」


41: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:17:11 ID:cHu

それなら知っている。
授業でちょこっと聴いた。寒かったり逆に暑すぎたりして作物が取れなくなって、みんながご飯を食べられなくなってしまう災害のことだ。

叔母「そうね。私と兄さんの御先祖様はその時、まさにその時が始まりだったの」

ファイルから一枚の紙を取り、叔母さんは私に渡してきた。彼女が纏めた物なのだろう、字も大きくて、平仮名が多い。だからあっさりと読めてしまう

叔母「……江戸四大飢饉、尽く人の肉喰らいて我が一族続けり。それが私たちのルーツ。人の肉と骨を喰らって生きてきた餓鬼が、あなたの、兄さんの、わたしの御先祖様なのよ」

わからない。

――わからない!
私は今何を見ているのだろうか。
それでも読めてしまう。読み進めることが出来てしまう。ほかならぬ私に合わせて作られたその用紙の意味は、容易く私の脳味噌に刷り込まれてしまう。

少女「……」

纏めれば簡単だ。
私のおとうさんと叔母さんの御先祖様は、人の肉を喰って飢饉を凌いできた。それは決して珍しいことじゃない。その時代なら、仕方ない事かも知れない。きっと口に出していないだけでそれぐらいなら――誰の御先祖様がやってたっておかしくない。

だけど、私の手にあるプリントはもう少しあとの年代の物を叔母さんが翻訳して私にも読めるようにした物だ。


44: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:24:16 ID:cHu

少女「……」

桃娘の作り方。
それがそのプリントの内容だった。
発祥は古代中国。私たちの一族は大昔、江戸の飢饉が過ぎ去った後も人の肉を求めその習慣を続けたらしい。
小さい頃から……そう、まだ体の機能が不完全な頃からひたすらに桃を食べさせて身体をそれに染めていく。
やがては尿や汗が桃の糖分に侵され、その状態の人の肉はとてつもなく旨いらしい。そこにはそう書いてある。

少女「……それで……?」

叔母さん「わかるでしょう?」

少女「……おとうさんは……」

叔母さん「覚醒遺伝、先祖返り。之ぐらいしか説明する言葉を私は持たないけど、これでしょうね。古代に刻まれた忌まわしき遺伝子は、貴方の父親の中で芽吹いたのよ」

叔母さん「私は元々、あの人はどこかおかしいんじゃないかって思ってた」

叔母さん「……お母さんの葬式。あなたはまだ小さかったから覚えてないでしょうけど、私は覚えてる」

叔母さん「貴女のお母さんの火葬が終わったあと、骨壷を墓地に収めるまでの道のりでね、確かにあの人は骨のひとかけらを布で包んでポケットに滑らせた」


46: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:35:51 ID:cHu

叔母さん「最初は墓地に収められるのが嫌で嫌で、せめて一欠片だけでもと思ったのかと私は想定した」

叔母さん「でもね、違かったのよ。あの人は――その後の親戚同士の食事会で、それを飴みたいに口の中で転がしてた。それに気づいた時、私はぞっとしたわ」

少女「……ひ……ぁ……」

叔母さん「……あの人が親戚の話に付き合う傍らあなたに食べさせていたのはドライフルーツ。干した桃」

少女「……!……?」

叔母さん「全部繋がっちゃったわ。正直私も信じたくないけど」

少女「……おばさんは……なんで……?」

そこまで知っているのか?
叔母さんは友ちゃんから私の学校の話を聞いているうちに、どこか妙な感じを受けたのだという。
それでも、互いの家は遠いし叔母さんにも色々と仕事がある。
直接会うのも……と、思った所で、葬式の時のおとうさんの妙な行動を思い出した。

叔母さん「そこで親戚筋に問い合せてね、私たちの御先祖様のことを調べたら……見事にビンゴ。
それでも途中でなんだか馬鹿らしくなってこれはそのへんにほうっておいたんだけど、
友が余りに怖い怖いと言うもんだから今日はあなたの顔を見に学校へ行った」

叔母さん「……確信したわ。貴方は小学校五年生にしては細く小さいとずっと思っていた理由が全て解った。
最低限のタンパク質を取らせ、白米による脂肪を増やし、海藻、野菜類などの摂取による体内に毒素を貯めない食事などを徹底的に食べさせる兄のやり方を見て、今私はひとつ思っている」

叔母「少女ちゃん、あなた養殖されてたのよ。ずうっと、小さい頃から」


48: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:42:24 ID:cHu



――――それからは、お風呂に入って、ご飯を食べて、今は友ちゃんの部屋のベッドにいる。この家に来てすぐ聞かされた話がずうっと頭の中でわだかまっていて、私は寝付けなかった。

少友「少女ちゃん、どうしたの?」

少女「ううん、なんでもないよ」

家畜というのは女性ホルモンを注入させ早めに育成する手法が珍しくないらしい。だから、そういったものが今までの食事に混ざっているかもしれない。
叔母さんはそう言っていた。
心当たりは……ある。いいや、むしろ心当たりしかない。あのサプリメントはきっとそういうものだったのだろう。

でも。
それを求めて、腹の奥底で熱が渦巻いているのを感じている私が確かにいた。

おとうさん――――


49: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:44:40 ID:cHu

お父さん「あの野郎」

お父さん「あの野郎、あの野郎、あの野郎、あの野郎、あの野郎、あの野郎、あの野郎、あの野郎」

叔母がどうやら感づいたらしい。
俺はコンビニで買ってきたビーフジャーキーを噛みしだきながらひたすら怒りに震えていた。畜生、まだ最後の仕込みは始まったばかりなのに。
なんだってあいつは邪魔をする


50: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:47:33 ID:cHu

電話がかかってきたと思ったら、あの子はしばらく私が預かる、と来やがった。巫山戯やがって、あいつをここまで育てるのにどれだけ労力がかかってると思っているのだろうか。
本当に時間をかけてきた。濃縮され通常の数倍の糖度を持つ桃を毎日、毎日食べさせて、さりげない性感帯を刺激するマッサージで自然な女性ホルモンの分泌を促して、じっくりとあの肉を育ててきた。我慢して来た。
その労力をあいつは電話一本ですべてぶち壊しやがったのだ。


53: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)16:51:40 ID:cHu

お父さん「――――そう言や」

お父さん「あいつにもひとり、餓鬼がいたっけな」



朝。
私は今迄給食ぐらいでしかお目にかからなかった〝美味しい食事〟とやらに直面して、食欲を抑えられなかった。
納豆をかけたご飯ってこんなに美味しいものなんだ、鮭の塩焼きってこんなに美味しいものなんだ、美味しい。
味噌汁は家でも飲んでいたけど、大概はお湯と変わらないような薄味だったから叔母さんのしっかりと出汁をとったそれはとても美味しく感じた。


54: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:03:53 ID:cHu

叔母さんは決して行儀がいいとはいえない私のがっつき様を見て何か考え込むように眉間にシワを寄せ、友ちゃんはそんな私に対抗意識を燃やしてかおかわりを何回もしていた。

叔母「そろそろ学校ね、送っていくわ」

少女「あ……お願いします」

宿題は……ううん、学校でやればいいや。それよりも大きな問題は、今日はどうするのだろうか、という事。
話の流れからして今日もここに来る事になるのだろうけど……困りはしないし、あの話を聞いた限りではむしろここにいた方が安全なのだけど。
何だかそれがすごく嫌で、私はうつむいた。腹の中があつい。そう言えば昨日は一回もあついのを感じていない。

……あぁ、おなにー、したい。
あついの、かんじたい。



何度授業中にトイレに駆け込んだろうか、それをなんとなく思い出し、数えながら、私は叔母さんの車の助手席に寄りかかって窓の外の風景を見ていた。

叔母さん「……桃の匂い、凄いわね」

叔母さんは私を乗せた直後にそう言ったっきり口を閉じ、無言でハンドルを回している。友ちゃんは今日の体育で大活躍したのが祟ったのか、後部座席でねむそうに舟をこいでいた。

叔母さん「……そういう事か。あいつ……凝り性なのは知ってたけどまさかここまでとはね……自然に任せるままに、最高の状態へ持っていくって訳か……」

なにかの答えに行き当たったのだろう
おばさんはポツリと呟いて、私の方を見た。でも、今の私にはそんなことどうでも良かった。
あついのがたりない。
頭の中でうずまくのはそれだけだ。


55: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:07:36 ID:cHu

サプリメント。
それをくれたのは、誰だっけ。
そうだ、お父さんだ。だからおとうさんが私を気持ちよくしてくれるんだ。
それならそれでいいじゃないか。叔母さんはなんだってこんなにも慌てて私のことを守ろうとしているのだろう?

少女「帰りたい」

叔母さん「……少女ちゃん」

少女「帰りたいよ、叔母さん」

――桃の匂いが濃くなった。

叔母さん「……少女、ちゃ……」

それもそうか、私は今おなにーをしている。


56: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:09:17 ID:cHu

no title


少女の参考画像な


57: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:21:14 ID:cHu

叔母さんは車を止めて、股を掻き回す私の腕をそっと動かして、ポケットティッシュで拭いた。邪魔しないでよって言いたかったけど、叔母さんの顔があまりにも苦しそうだったので心の中に留めておいた。



叔母さんの家に着いた。
玄関に立って、眠そうな友ちゃんの頭をなでていたら、ドアノブに手をかけた叔母さんの顔が険しくなった。
叔母さんがこの顔になる時は大抵何かがある、今回もそのご多分に漏れず、震えるおばさんの唇が呟いた。

叔母「鍵が……壊されてる」

少女「……え?」

叔母さん「少女ちゃん、友、ちょっと車に戻っててくれるかし――」

ドアが内側から開いて、そこまでしゃべっていた叔母さんの鼻面を凄い勢いでぶっ叩いた。角が鼻にめり込み骨と肉がぐちりと潰れる音がはっきりと響き、ぼんやりとしていた友ちゃんの目が恐怖で見開かれる。

私は、薄暗い室内で光る二つの目とその下で普通に、本当に至って普通に微笑んでいるその顔を知っていた。

少女「おとう……さん……」

お父さん「少女、あーん」

差し出された指先にぶら下がっているのは――ほんのりピンク色のタブレット。
息が上がる。体が熱くなる。頭がぼうっとして、何もかもどうでも良くなる。あれを齧って飲み込めば、すぐに気持ちよくなれるんだ。

叔母さん「あん、た……」

折れた鼻を抑えながら叔母さんが立ち上がろうとしたが、それに視線を流したお父さんは軽くジャンプしその顔面を欠片の容赦なく両足で潰した。
抑えていた手も砕けたのだろう。痛みのあまりの呻きがお父さんの足の下から聞こえてくる。痛そうだ。


59: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:28:59 ID:cHu

お父さん「顔面陥没まで行ったかな? なんにせよ、お前ちょっと邪魔過ぎたわ、叔母」

友ちゃん「……おかあ、さ……」

お父さん「騒ぐなよ、餓鬼」

お父さんが叔母さんの顔から降り、すぐ様私の頭の横をお父さんの革靴が通り抜けて、肉を打つ音が響いた。
軽くだったのだろうが、それでも友ちゃんの鳩尾を成人男性の力の蹴りが捕らえたことに代わりはなくて。
うめき声とともにしゃがみ込んだ友ちゃんの口から、今日の給食に出ていたポテトサラダの成れの果てが吐き出されて、地面に落ちた。

お父さんは友ちゃんの頭をさらに踏みつけて、地面の吐瀉物に擦り付ける。

お父さん「お前か、この屑に少女の事を教えたのはよお? ダメだな、全くダメだ。お前のゲロは臭くて仕方ない――少女の出すものはもっと綺麗だ。お前みたいに汚れちゃいない」

少友「……ひっ、ううっ、ゆるして、ゴメンなさい……もう許して……」


60: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:33:17 ID:cHu

お父さん「ああ?」

振り上げられた脚が友ちゃんの後頭部に叩き下ろされ、潰されたカエルみたいな醜いうめき声が響いた。

お父さん「許して? ください?」

何度も、何度も。
何度も何度も。
何度も何度も何度も何度も。
友ちゃんの小さい頭をお父さんの革靴が踏み潰して、だんだん友ちゃんは何も言わなくなって、頭のカタチも変わっていった。数分たった頃にはもう友ちゃんの身体はぐったりしていた。

お父さん「許すわきゃねーだろうがよォこのクソガキが! テメーが余計な事言わなけりゃこうはならなかったんだ! クソが! 余計な手間かけさせやがって!」

死んでしまった友ちゃんの頭をサッカーボールの様に蹴りつけて、お父さんはようやく私の方を向いてくれた。


61: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:37:51 ID:cHu

お父さん「遅くなったね、少女。はい、これ、欲しいだろ? 食べたあと凄かったもんなぁ。家中に響く声でヨガってさ? 少女のそう言うところを見てるとな、お父さんも嬉しいんだ」

知ってたんだ。
叔母さんの言うことは間違ってなかったんだ。でも、もうどうでもいい。
欲しいものはもう目の前にあるから。
ルーツ? 馬鹿馬鹿しい。
歴史? それがどうかした?
たとえこの後私が今そこで鼻から血を垂らしてグッタリしている友ちゃんのように殺されてしまうとしても、そんな事、あのタブレットをたべたあとにやってくるあついのにくらべればもうどうでもいいことで。

どうでもいい事で――――


62: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:42:45 ID:cHu

お父さんの手首を取って、摘まれたタブレットを指ごと咥える。ああ、美味しい。ちょっと甘い。体が早くも熱くなってきた。やっぱり之は気持ちよくなるお薬だったんだ。

――之で良かった。
そう思っている筈なのに、私の頬を伝う涙は一体何なのだろう? この後の運命に対して、絶望しているのか。
もうどうでもいいと割り切ったのに。











叔母さん「残念ね、兄さん」


63: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)17:53:26 ID:cHu

――――え?

そう思った次の瞬間、背後から叔母さんの腕が私を抱き込み、お父さんから引き剥がした。そんな、あれだけ顔をめちゃくちゃにされていたのにどういう訳か叔母さんの顔には傷一つない。
鼻血の跡こそ残っているが、それだけだ。
それだけが唯一、あの光景が夢じゃなかったと教えてくれる証人だった。

お父さん「……あ?」

お父さんも、流石に驚愕を顕にした表情で私を抱きしめる叔母さんの顔を見つめている。様々な事が今この場では狂っていて、おくすりのせいもあって私には何がなんだか解らなかった。

お父さん「どういう事だ……何が起きてんだ? あれ? 俺、お前の顔潰したよな? 叔母さん」

叔母さん「ええ、潰されたわ。顔も凹んだし、手の骨もこなごなになった」

お父さん「じゃあなんで――じゃあ何でてめえはそんなふうに平然としてやがるんだよコラァアアッ!」

叔母さんは、それには答えず。
ただすうと後ろを指さした。
頭を潰された友ちゃんの死体がある方向を、指さした。

叔母さん「〝さっきも言ったわね、私は。とても残念だわ、兄さん〟」

ぶぢゅり。
そんな音がして、一拍置いた後、お父さんの首裏から噴水の様に血が吹き出した。絶叫、微笑んでいた顔が崩れて父さんの顔が恐怖と痛みに彩ろられる。

叔母さん「……延髄を斬っても即死はしない、か。やっぱり多少は目覚めてるのね。食欲の第一段階だけかと思ったけど」

――友ちゃんだ。
頭のカタチも変わって、目から生気が失せて死んでいた筈の友ちゃんが軽やかに私と叔母さんの前に着地した。


64: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:02:29 ID:cHu

流石に、もう限界だった。
薬の幻惑を振り払って私は叔母さんに問いかける。この情景に対する説明をして欲しい。これは一体何なのか。
私は今何を見ているのか?

少女「叔母さん……これは……?」

叔母さん「――――ええ、あなたの疑問は最もよ。でも今は説明している時間はないわ。恐らく今の一撃で目覚めてしまう――だから、よく聴いて。そして飲み込んで」

叔母さん「地獄って言うのは確かにあって、何かの間違いでそこから登ってくるモノたちがたまにいるのよ」

叔母さん「私たちはそれ」

叔母さん「私も、あなたのお父さんも、少友も、そしてあなたも」

友ちゃん?「――それを討滅するのが我らが使命という事よ、餓鬼。やれやれだ。無遠慮に起こされたから頭が痛くて仕方ないわ」

友ちゃんの声が変わっていた。
例えるならそれは年老いた鴉。しわがれて、とても人とは思えない音律を孕む異界の声――――。

鋼鬼「ああ、貴様が知る娘は今ここにはおらんぞ、餓鬼。我が名は鋼鬼(コウキ)。地獄の鬼が一兵卒。故あって体を借りておるのよ」

叔母さん「無駄口はそれまでにして、鋼鬼。――――来るわよ!」


65: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:09:08 ID:cHu

お父さん「あぁああ」

お父さん「あぁああああああ!!!」

お父さん「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

お父さん「っザケンじゃねぇぞテメェラァ!? 俺がドレだけ、ソイつにじかんカケテキタと思ってん、ダァ!?」

お父さんの顔が、ゆがむ。
顎が裂けたかと思えば髪の毛が抜け落ちその下の地肌が剥き出しになっていく。全身が――――特に腹がひときわ大きく膨れ上がり服が破ける。

餓鬼「ドレダケ、ドレダケ、ドレダケええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」

そこに立っていたのは、もう人じゃなかった。
知ってる。見たことがある。遠い昔幼稚園においてあった地獄に関する絵本の中にそいつはいた。針の山で痛みに呻き、釜の中で茹でられ、血の池で苦しむ。そいつ等は罪人が成れの果て。


〝餓鬼〟


67: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:24:24 ID:cHu

少女「――――怖い」

私ができたのは、震える唇で何とかその一言を紡ぐ事だけだった。もう何もかもが理解の範疇を超えていた。
ただただ私が理解出来ること。それはたった一つ。ここは既に人の世じゃない。生臭い血と腐肉の臭いが周囲を席巻しているそうここは地獄なのだ。

鋼鬼「喧しい、騒ぐなよ餓鬼」

鋼鬼と名乗った友ちゃんの形をした何かの両手から、金属質な振動音を響かせて刃が飛び出した。日本刀によく似ているが、はっきりと違うのは其の色彩が真っ赤である事だ。
血を固めたかの様に。
そこに人の命が煮詰めてあるかのように、あまりにも真っ赤だった。

鋼鬼「〝獄刀・閻魔〟」

鋼鬼がそう言った次の瞬間、餓鬼が動いた。四つ這いになったかと思えば爬虫類を思わせる気持ち悪い動作で素早くこちらに走りよってくる。
ふんと鼻を鳴らした鋼鬼の体に肉薄した餓鬼は――そのまますり抜けてこちらに向かってきた。鋼鬼の身体が餓鬼が触れた瞬間霞のように薄れたのだ。

少女「ひっ――――」

おぞましい。
之が、こんな物が私の父だったのか。
近くでその顔を見て、私は体中の毛がぞわりと波うち嫌悪感に逆立つのを感じながらそう思った。脂ぎった肌、穢らしい乱杭歯、昆虫のような、さらに言うならゴキブリの様な良くわからない恐怖を孕む灰色の眼球。
そのクチががぱりとひらき私の頭をかじり取ろうとして――止まった。

鋼鬼「――〝壱ノ太刀〟」


「〝霞鼬〟」

――古めかしい音律を効かせて宣言されたその名を聞いた瞬間、餓鬼の体全身に赤い筋が走った。

叔母さん「――目を逸らさないで」

斬った。
いや、斬っていた。
餓鬼の身体は瞬き一つの刹那後、幾つにも分割された肉の塊になって私の前に転がっていた。


70: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:35:19 ID:cHu

叔母さん「之が、私たちのこれから戦うものよ」



その後、すぐに私は気を失った。
目が覚めると友ちゃんのベッドにいて、隣では何時もの友ちゃんが安らかな寝息を立てていて、全て夢だったのかな、と思ったりもしたが。
水を飲もうと台所に向かったらおばさんがいて、夢じゃないわ、とだけ呼びかけてきて、そうですか、とだけ答えた。

少女「教えてください――」

あれは何だったのか?
そして私は――いや、私の父は、ひいては私達の一族は何だったのか?
そして聞かされた事実は余りにも衝撃的――でもなかった。もう物事を現実かそうでないかと判断する物差しは既に壊れていて、受け入れるしかなく。

叔母さん「――つまりね、人間は死んだ後、そのほとんどが地獄に流れてくるの。当たり前よね、人間は生きているだけで何かを殺しているのだから」

あるいは家畜
あるいは植物
罪という概念を常に発生させながら人は生きている。死んだ後はほぼ確実に地獄行きなのだ。そして、地獄にも許容の限界というものがあるらしい。

叔母さん「――餓鬼は地獄の中に棲息するものでも下位の存在だけど、それに対するのが人間だとまた話は変わってくるわ。抗えないのよ」

叔母さん「人間の尺度に当てはめて考えれば、筋力、生命力、生物としての能力すべてがこの世に生きるすべての生物を凌駕している」

叔母さん「飢饉を初めとして私達の一族が始まったというのは嘘ではないわ。あの時、地獄へ一気に流れてきた人の罪によりパンク状態になって、異界と人間界の門の境は曖昧になった」


71: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:41:29 ID:cHu

叔母「――そして、何を思ったかその門をくぐってしまった餓鬼が沢山いて、その中の一人が本当の私達のオリジンよ」

叔母「飢饉の際の絵が日本各地に残っているから、見ればわかると思うけど。腹が膨れて、とても人とは思えない見てくれになった人間が描かれているものもある」

叔母「餓鬼のようだ、と形容されているけれど、あれは本物の餓鬼よ」

叔母「……そして私は、何でだか知らないけど人間としての思考能力と正義感を保っていて、生んだ娘は地獄の鬼と生まれたその時から何故か契約を交わしていた」


72: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:48:54 ID:cHu

ようやく、理解出来た。
叔母は嘗て起こってしまったありえないことのせいで根付いた地獄と人間界の縁を必死に絶とうとしてきたのだ。
そして、私の父はそれに勝てず、実の娘である私すら喰らおうとしたのだ。

少女「……これから私はどうすれば?」

叔母「……私のところにいて。それしかないわ。お父さんの事はもう大丈夫だから……鋼鬼にみじん切りにしてもらって川に流してきた」

少女「解りました」

私は、今生きているこの世への興味が今やなくなっていた。それよりも、私たちの一族のことをもっと知りたい。
そして地獄の事も、もっと。すべてを見て、知って、そして――どうするかはまあ、そのうち決めよう。

少女「……うちに戻って、父の通帳を持ってきます。私知ってるんです。あの人は大体誕生日を暗証番号にするってこと」

叔母「……いいのよ、少女ちゃん。お金なんて。もともと私がもっと早く動いていればこんな事には成らなかったんだから」

少女「自分の為ですよ。おばさんの為じゃありません」

叔母「……どうするの? その金で」

少女「貴方達のことをもっと知るためにいろんなものが必要なんです。パソコン、持ち歩ける物が好ましい。そして本。沢山、沢山読まなくちゃ」

少女「――――地獄の沙汰も金次第。なんにせよ、私は貴方達について行き貴方達が歩む其の世界を見たい」

少女「それだけですよ」





73: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:49:04 ID:cHu

俺は何も知らねぇ


74: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:49:22 ID:cHu

こんなもんが書きたかったはずじゃないんだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


75: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)18:55:18 ID:cHu

着地点決めるのは大事なんだなって思った


76: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)19:05:30 ID:kV1

乙w


78: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)19:09:02 ID:cHu

いやなんかほんとすいません
エロイ展開臨んでた人ほんとすいません


79: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)19:09:35 ID:cHu

見切り発車したもんだから着地点を伝奇というか怪奇っぽくする以外思いつかなかったんです


80: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)19:27:58 ID:UFk

まさかの超能力ものだった


81: 名無しさん@おーぷん 2015/10/01(木)19:50:33 ID:vyn

乙と言っておくわ
(エロくなくて残念…)







少女「お父さん、なんで?」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1443674028/
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