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妹「くちゃくちゃくちゃ」2

シリーズ
妹「くちゃくちゃくちゃ」1
妹「くちゃくちゃくちゃ」2
妹「くちゃくちゃくちゃ」3
妹「くちゃくちゃくちゃ」4
妹「くちゃくちゃくちゃ」5


45: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:26:19 ID:eH7



看護師「ほら、お兄ちゃん来たよ?」

妹「あっ、兄ちゃん」

兄「……」

妹「兄ちゃん、どうしたの? 顔色悪いよ?」

兄「心配したんだよ。外散歩するならメールのひとつやふたつ送れよ 」

妹「……ごめん」

兄「あ、いや、まあべつにいいんだ。無事だったんだし」

妹「……うん」

兄(いけね。勢いにまかせて怒ってしまった)

46: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:28:36 ID:eH7

看護師「お兄ちゃんも来たし、そろそろ部屋に戻ろっか?」

妹「……はい」

看護師「あ、キミはあとからわたしのとこに来て。いつものとこでいいからさ」

兄「はあ……なんか用でもあるんですか?」

看護師「ちょっとね」


47: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:33:08 ID:eH7



兄「それでこんなとこに呼び出してなんですか? 」

兄「ていうか、僕も聞きたいことがあるんですよね」

看護師「先に話聞いてあげる。なに、聞きたいことって」

兄「看護師さんってうちの妹の担当じゃないですよね?」

兄「なのになんで妹を散歩に連れ出してたんですか?」

看護師「そのことか。そうだね。気になるところだよね、キミからしたら」

兄「昨日、看護師さんから聞いた話を思い出したらちょっと不安になったんで」

看護師「たしかにわたしはいいかげんな女だからね。その気持ちはわかるよ」

兄「……」

看護師「たまたまだよ。ちょっと野暮用があって妹ちゃんの部屋を通りかかったんだ」

看護師「で、様子見たら散歩に連れていってほしいって言うから」

兄「それで連れていったんですね」

看護師「うん」


48: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:35:16 ID:eH7

看護師「少し心配なこともあったしね」

兄「心配なこと?」

看護師「これだよ」

兄「これって……」

看護師「ビタミン剤だね。一日二粒のやつ」

兄「べつに健康のためのものだからよくないですか? 」

兄「ていうか、これって妹から盗んだんですよね?」

看護師「当たり前でしょ。もし、その袋の中身を全部飲んだらどうなると思ってんの?」

兄「あ……」

看護師「キミの妹ちゃんはわりと高い頻度で死にたがってるみたいだからね」

看護師「そういう薬はもたさないほうがいいよ」

兄「……はい」


51: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:41:00 ID:eH7

看護師「で、わたしの聞きたいこと、聞いてもいい?」

兄「あの、その前にもうひとつ。いいですか?」

看護師「まだあるのー? なによ?」

兄「看護師さんってヒマなんですか?」

看護師「んー、まあ暇じゃないと言えば暇じゃないし、暇といえば暇かなあ」

兄「曖昧ですね。けど、僕としゃべってていいんですか?」

看護師「いいんだよ。基本的には暇だし」

看護師「暇じゃないっていうのは、べつの部署の手伝いをしてるからなんだわ」

看護師「MEがどっか行っちゃったらしいんだよ。それを探してくれって……」

兄「えむいー?」

看護師「メディカルエンジニアの略。まあ、そんなことはどうでもいいわ」


52: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:44:39 ID:eH7

看護師「質問する前にひとつ」

看護師「イヤだったら答えなくていい。でも怒らないでね」

兄「ぼくが怒るような質問をするんですか、看護師さんは」

看護師「もしかしたら、ね」

兄「いいですよ。どうぞどうぞ、怒らないから質問してください」

看護師「なんか投げやりだね」

兄「最近、なんだか疲れてしまって」

兄「あー、でも僕って人と話すのはそんなにキライじゃないんです」

兄「あまり友達はいないんですけどね」

看護師「まあいいや。遠慮なく質問するから」

看護師「なんで妹ちゃんが鬱病になったか原因わかる?」


53: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:47:57 ID:eH7

兄「……」

看護師「やっぱり聞かないほうがよかった?」

兄「というか、普通こういう質問をしますかね?」

看護師「まずしないね。普通の神経してたらね」

看護師「ただわたしってば、めちゃくちゃ神経図太いからさ」

兄「そういう問題じゃないと思います」

看護師「そうかもね」

看護師「それで、真面目な話。わかるの? わからないの?」

兄「……なんとなく」

看護師「なんとなく?」

兄「心当たりは……あります」

看護師「話してみてくれない?」

兄(この人は、いったいなにを考えて……)


54: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:50:50 ID:eH7

兄「話してもいいですよ、べつに」

兄「大した話でもないし。でも、時間いいんですか?」

看護師「べつの部所の手伝いができるくらい暇だから大丈夫」

兄「給料泥棒」

看護師「あ?」

兄「なんにもです」

看護師「そんで、早く話してよ」

看護師「暇とは言っても、あんまり立ち話してると同僚の視線がイタいからさ」

兄「……」

兄「なんか身内自慢みたいになってイヤなんですけど、僕の妹、すごく優等生なんですよ」

看護師「へえ。確かに優等生っぽいかも」


55: 名無しさん@おーぷん 2015/09/13(日)23:55:29 ID:eH7

兄「逆にこれは自虐になるんですけど、僕は全然勉強もできないし、部活もやらないグータラ野郎で」

看護師「うん、見た目からして覇気とかオーラとかがないよね」

兄「……まっ、兄である僕がこんなんだから親とか親戚も、妹ばかり褒めるんですよ」

看護師「はは、わたしも一個上の兄が優秀だからキミの気持ちはよくわかるよ」

兄「うれしくないです」

兄「妹はぼくとは対照的で、両親や親戚の期待にきっちり応えるタイプでして」

兄「実際、いい高校に通ってたし部活とかでも表彰されたりもしてたんです」


59: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:28:52 ID:Huu

兄「ただ、あるときからちょっとずつ妹は変わってたんですよ 」
  
兄「悪い方向に」

看護師「なんで?」

兄「……ぼく高校二年の頃生徒会長やってたんですよ」

看護師「へえ、似合ってないね」

兄「……自覚はありますよ。先生や友達にもわりとボロクソに言われましたから」

看護師「まっ、面白いじゃん」

兄「僕、勉強はできなかったんですけど人一倍運がよかったんですよ」


60: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:34:04 ID:Huu

看護師「百万円でも拾った?」

兄「百万円はむしろ捨てちゃいました」

兄「生徒会やったおかげで、かなりいい大学に入れたんですよ」

看護師「生徒会やってるといい大学に入れるの?」

兄「と言うよりは、本来なら受けることができなかった大学に推薦で受験できるようになったんです」

看護師「で、受けたら合格しちゃった、みたいな?」

兄「はい、そんなところです。私立なんですけどね」

看護師「どこの大学なの?」

兄「――です」

看護師「わおっ! めっちゃ頭いいところじゃん。」

看護師「馬鹿高校に通ってたわたしでも知ってるよ」

兄「実際、僕がそこに受かったって言ったらみんな卒倒しそうなぐらい驚いてましたよ」


61: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:39:01 ID:Huu

兄「とにかく運がよすぎたんですよ」

兄「僕の担任は受験の神様って呼ばれてる人だったし」

兄「受けた学部はたまたまその年は受験者数も少なかったし」

看護師「ふうん。高校は?」

兄「――です」

看護師「わたしが通ってた高校じゃん!」

看護師「ていうか、あそこは女子校のはずなんだけど」

兄「七、八年前から共学になったんですよ」

兄「最近じゃあ少しはレベルも上がったみたいです」

看護師「あのおバカ宗教学校がねえ」

看護師「……それで、キミがいい大学受かったのと妹ちゃんの鬱病は関係あんの?」

兄「……僕が受かった大学、アイツが入りたがってた大学なんですよ」


62: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:40:47 ID:Huu

看護師「キミの妹って何歳だっけ?」

兄「18です。僕とはふたつ違います」

看護師「妹ちゃんは本当なら今年から大学生だったんだね」

兄「ええ。だけどアイツは……」

看護師「大学、落ちちゃったんだ」

兄「はい。がんばりすぎて体調くずしちゃったんですよ」

看護師「本当に真面目なんだね」


63: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:43:43 ID:Huu

看護師「それで鬱病に?」

兄「それだけが原因じゃないと思います」

兄「妹は女のくせに愚痴ったりするタイプじゃなくて溜め込むタイプだったし」

看護師「女のくせにって言い方は感心しないなあ」

兄「……ごめんなさい」

看護師「ほかには?」

兄「イロイロあると思います。うちの両親十年以上も前に離婚してて」

兄「ぼくらは母親に引き取られたんですけど、父親のくれる金だけでは足りなかったんです」

兄「それで昔はけっこう辛い生活でした」

兄「妹はなにかある度に、将来はいい仕事について金持ちになるって言ってて……」

看護師「なんか聞けば聞くほど重くなるね、話が」


64: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:46:53 ID:Huu

兄「六年前に母が再婚してからは生活もラクになったんですけどね」

兄「でも、妹はそれで自分の目標や信念を失うような怠け者じゃありませんでした」

看護師「キミは……って聞くまでもないか」

兄「僕のことはどうでもいいんですよ」

看護師「はいはい、それでそれで?」

兄「……ぼくも詳しくは知らないけど妹はホテルのコンサルティングとやらの仕事を将来はしたいと言ってて」

看護師「へえ、わたしも詳しくは知らないけどプランナーみたいなもんでしょ?」

兄「おそらく」

兄「アイツ、一時期は留学もしてたんでそれも関係してるんだと思うんですけど」

看護師「聞けば聞くほど、キミの妹ちゃん、すごいね」

兄「自慢の妹ですよ」


65: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:48:53 ID:Huu

看護師「ようするに原因はイロイロとあるわけね」

兄「僕がうっかりイイ大学に入ったせいで、妹に対する周囲の期待もより大きくなってましたしね」

兄「妹は今まで、きちんと周囲の期待に応えてきたら余計にプレッシャーを感じたんだと思います」

看護師「……妹ちゃんの周りの環境と妹ちゃん自身の相性が悪かったのかもね」

兄「どういう意味ですか?」

看護師「んー、そうだな。たとえばさ、キミはここの病院のことどう思う?」

兄「立派な病院だと思います」

看護師「そだね。少なくとも外装とか内装とかはちょっとしたホテルみたいだよね」


66: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:51:31 ID:Huu

看護師「それじゃあ質問その2」

看護師「この病院に患者はいっぱいいると思う?」

兄「……あんまりいないと思います」

看護師「そう。実際ここに来る患者の数なんて大したことないんだよ」

看護師「やたらめったら広いわりにね。なんでだと思う?」

兄「わかりません」

看護師「答えはいい医者がこの市民病院にはいないからなんだよ」

兄「いい医者がいない?」

看護師「うん、全然いないよ」


67: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)00:55:39 ID:Huu

看護師「それに毎年この病院のせいで市は30億ぐらいの借金を背負うらしいしね」

看護師「外装や内装ばかりで中身が全然しっかりしてないのにね」

兄「……」

看護師「借金ばかりだから医者や看護師の待遇も並のところより悪いし」

看護師「患者もあんまりいないから仕事が少ない」

看護師「それどころか本来の仕事すらできない人もいるし」

兄「本来の仕事?」

看護師「MEのこと、話したでしょ? アイツら本当は機械いじりが仕事なんだけどさ」

看護師「大して機械は使わないし、たいてい業者側がほとんどやっちゃうから仕事がないの」

兄「じゃあその、えむいーはなにやるんですか?」

看護師「中材で雑用。しかも安月給でね」

看護師「おかげでうちのMEはやる気ゼロで、毎日一回はどっかにサボりにいくんだ」

看護師「そんでわたしがソイツらを探しに行くわけだ」


68: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)01:00:51 ID:Huu

看護師「最初に来たころはアイツら、めちゃくちゃ目ぇ輝かせてたのにね」

看護師「今じゃただの雑用。せっかく専門学校にまで通ったのに、おバカなことこの上ない」

兄「……」

看護師「そのMEも自分たちが働く環境をきちんと知ってりゃ、またちがったのにね」

兄「そう、かもしれませんね」

看護師「人間は周囲の環境や人で決まる」

看護師「キミの妹ちゃんの現状も、そういう周りの色んなものに左右された結果なのかもね」

看護師「……って、お話よ」


69: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)01:03:33 ID:Huu

看護師「おっと、そろそろわたし行くわ」

兄「あ、はい。……がんばってください」

看護師「キミもさ」

兄「はい?」

看護師「あまり思い詰めないほうがいいよ」

看護師「鬱病の人の側にいると、側にいるその人までおかしくなることがあるから」

兄「……気をつけます」

看護師「んじゃ、また今度お話する機会があったらしようね。バイバイ」

兄「さよなら」

兄(周囲の環境。妹にとってそれは、母さんや……俺、か)


70: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)01:08:58 ID:Huu



兄『……』クチャクチャ

妹『……』モグモグ

兄『この肉じゃがうめーな』クチャクチャ

妹『ねえ、兄ちゃん』

兄『なんだよ? 肉はやらねえぞ』

妹『そうじゃなくて。くちゃくちゃうるさいってば』

兄『くちゃくちゃ?』

妹『うん』


71: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)01:10:35 ID:Huu

妹『食べてるときに口をきちんと閉じて噛まないから、くちゃくちゃ言うんだよ』

兄『……』モグモグ

妹『……』

兄『あ、本当だ。口を閉じたら音しないな』

妹『でしょ?』

兄『でも、こんなの誰も気にしないだろ?』

妹『はあ~』

兄『なんだよ、その深いため息は?』

妹『兄ちゃんって彼女いたことないでしょ?』

兄『関係あるのか、それ?』


72: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)01:13:19 ID:Huu

妹『女の子と遊んだことあるなら食べ姿とか普通気にするもん』

兄『そうなの?』

妹『そうなの』

妹『前から思ってて、あえて言わなかったけど。兄ちゃんは食べ姿が汚すぎるよ』

兄『う、うるせぇな。そこまで食べ姿なんて女の子は気にしないって』

妹『気にするよ! わたしは兄ちゃんの食べてる姿を見てると気分悪くなるもん』

兄『そこまで?』

妹『うん。とにかくものを食べるときは、もうちょっとキレイに食べてね』

兄『へいへい』

妹『返事は?』

兄『……はい』


79: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)19:10:24 ID:Huu



妹「……」クチャクチャ

兄「……モグモグ」

妹「……」クチャクチャ

兄「なあ、妹?」

妹「……なに?」


80: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)19:12:43 ID:Huu

兄「その……」

兄(こんなこと注意するべきじゃないのかもしれないけど)

妹「なに? 言いたいことがあるならはっきり言ってよ」

兄「ご飯」

妹「ご飯?」

兄「ご飯食べるときは口をきちんと食べたほうがいいぞ」

兄「音もクチャクチャ鳴らないし」

妹「……」


81: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)19:14:57 ID:Huu

妹「……っ」ドン

兄「ど、どうした……?」

妹「もうご飯なんていらない」

兄「……食べないのか?」

妹「いい。いらない。捨てて」

兄「……」

兄「……ごめん」

妹「……」

兄「病院の飯ってまずいよな? なにか買ってきてや……」

妹「いらないって言ってるでしょ」

兄「そ、そうか」

兄「それじゃあちょっと散歩でも行くか?」

妹「めんどくさい」

兄「……」


82: 名無しさん@おーぷん 2015/09/14(月)19:17:18 ID:Huu

妹「もう寝るから」

兄「でもまだ全然食べてないだろ……看護師さんに叱られるぞ?」

妹「じゃあ代わりに食べてよ」

兄「そういう問題じゃないだろ」

妹「そうだね」

兄「……今日はもう帰るわ」

妹「……うん」





次の話
妹「くちゃくちゃくちゃ」3


妹「くちゃくちゃくちゃ」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1442149033/
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