スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

魔王の娘「よくも父上をころしたな!」死にかけ勇者「…。」改訂2

シリーズ
魔王の娘「よくも父上をころしたな!」死にかけ勇者「…。」改訂1
魔王の娘「よくも父上をころしたな!」死にかけ勇者「…。」改訂2
魔王の娘「よくも父上をころしたな!」死にかけ勇者「…。」改訂3




123: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/01(水)23:37:04 ID:EPk


魔娘「魔娘ならすぐ飽きるな」

勇者「そうだなぁ、私も出来ないな」

魔娘「人間には優しいやつがいるんだな」

勇者「…。」

魔娘「灯台守りに、お前えらいなって伝えられると良いのにな」

勇者「明日の朝ごろ、灯台の近くを航行するから、手旗で送ってみればいい」

魔娘「手旗?」

勇者「詳しくは知らんが、水夫同士で言葉を伝えるやり方があるんだ」

魔娘「!!」

魔娘「じっちゃんに教わってくる!」

勇者(魔娘はお爺ちゃん子だなぁ)

引用元:open2ch
124: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/01(水)23:37:35 ID:EPk

魔娘「じっちゃんいるかー」

見習い「じっちゃんは見張り当番でマストだよ」

魔娘「そか。じゃあ見習いでいいや」

見習い「いいや、ってケンカ売ってるだろ」

魔娘「手旗教えてください」

見習い「手旗?いいぞ」

魔娘「ありがとう!」

見習い「なんて送りたいんだ」

魔娘「えっとねぇ」


125: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/01(水)23:40:34 ID:EPk


次の日 早朝

魔娘 パチリ

ゴソゴソ

勇者「…うーん…ん?もう起きたのか」

魔娘「うん、灯台に手旗送る」

ガチャ!

勇者「あ、私も行くよ」

ゴソゴソ

ガチャ!




魔娘「霧がかかってるな」

勇者「朝靄だ、すぐ晴れる」

サァー

魔娘「本当だ!晴れた!」

青空に映える白い灯台

魔娘 手旗 バッバッ

ア カ リ ア リ ガ ト ウ

勇者「誰かこっち見てるな」

魔娘「もう一回やってみる」

魔娘 手旗 バッバッ

ア カ リ ア リ ガ ト ウ


126: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/01(水)23:40:43 ID:EPk



勇者「誰か出てきた」

灯台守り 手旗 バッバッ

魔娘「…。」

勇者「なんて言ってるんだ?」

魔娘「ええと、…ええと…多分、これからも頑張るって」

勇者「そうか」

灯台守り 手旗 意味

タ ビ ノ ア ン ゼ ン ヲ イ ノ ル


143: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/02(木)21:58:34 ID:oBz

航海10日目

勇者「魔娘、起きてごらん」

魔娘「うーん」

勇者「初めの中継港に着いたぞ」

魔娘 ガバッ

勇者「夕刻まで停泊するそうだ。街に降りて散策しよう」

魔娘「うん!!」


144: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/02(木)21:59:13 ID:oBz

グランドバザール ガヤガヤ

勇者「賑わってるな」

魔娘「うわぁー!!」

珍しい果物、たくさんの魚…

勇者「ここは西洋と東洋が交わる世界最大の市場だからな。なんでもあるぞ~」

魔娘「ふわー…!すごく…すごい!!」

色とりどりのランプやパシュミナ、革製品、民芸品、陶器、絨毯、オリーブオイル、蜂蜜…

魔娘「勇者、あれなんだろう。肉がぐるぐる回ってる」

勇者「ああ、あれはドネルケバブだ」

魔娘「うまそう…」

勇者「うまいぞ。食おう」


145: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/02(木)22:00:28 ID:oBz

勇者「いくら?」

ケバブ屋「一つ1000ゴールドだよ」

勇者「高い。二つで500ゴールドにまけてくれ」

ケバブ屋「ふぁーwww何いってるのお兄さんwww
うちのケバブはすごく良いラム肉を使ってるんだよ?
そんな端金じゃ売れないね」

勇者「じゃあ一つでいいから300ゴールドにしてくれ」

ケバブ屋「できるわけないでしょ?じゃあ二つ買うなら特別に1000ゴールドにまけてやるよ」

勇者「もう一声。二つで700」

ケバブ屋「二つで1000。これ以上はまけらんないね」

勇者「そうか。なら、魔娘、あっちの店にしよう」

ケバブ屋「ちょちょちょちょ!!わかってないねーお兄さん!
よその店で食べるより、うちのジューシーなケバブ食べた方がいいよ!!900ゴールドにまけてあげるからさ!」

勇者「じゃあ二つで800ゴールド」

ケバブ屋「勘弁してくれよー、赤字になっちまうよー。
仕方ないねー、特別だよ!
じゃ、二つで800ゴールドね!」

勇者「うむ」

ケバブ屋(やったぜ。)

チャリーン

ケバブ屋「はい、おまっとさーん」


146: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/02(木)22:01:42 ID:oBz

はふ、むしゃむしゃ


魔娘「う、うまい…!!」

勇者「うまいなー」

魔娘「こんなにうまいのに、あんな安くしてもらって良かったのか?半額以下だったぞ」

勇者「いいんだよ、ケバブならだいたい一つ200ゴールドで買えるのに、ふっかけてきたんだ。値切るのもこの町の楽しみなんだよ」

魔娘「へぇー!商売上手なんだな!」

勇者「チェリージュース売りなんか、頼んでもないのに勝手にジュース注いできて金取るからな。いらないときは断るんだぞ」

魔娘「うん、わかった!」


147: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/02(木)22:02:58 ID:oBz



魔娘「ミミズみたいな模様の文字」

魔娘「目玉の模様の御守り」

魔娘「不思議なものいっぱいだなこの町は!」

勇者「うむ」

イランイランの香りフワ~

魔娘「…勇者、この匂いってなんだろう」

勇者「これは…香油だ」

魔娘「香油?」


148: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/02(木)22:04:07 ID:oBz



香油屋「あら、小さいお客さんね」

水タバコぷかー

魔娘「これは何?」

香油屋「これはね、秘密の惚れ薬よ。ウフフ、お嬢さんにはまだ早いかしら?」

魔娘「?どうやって使うの?」

香油屋「こうやってね、手首に塗ってスリスリして、耳の後ろや膝の裏にトントンてするの。
そうして気になる人と会えば、相手はメロメロよ?」

魔娘「へぇ…!」

香油屋「うちのは香りのエッセンスをたっぷり使ってるから、持ちが良いって言われるの。
油も、肌に馴染みがよくてしっとりするって好評よ。
少しつけてみる?」

魔娘「うん!」

香油屋「どんな香りが好き?」

魔娘「美味しそうな匂い」

香油屋「ウフフ、そうねー。
バニラかあんずの香りはどう?」

魔娘「クンクン…あ、こっちがいい!」

香油屋「あんずね」

ピチョン、スリスリ、トントン

魔娘「うーん…!!いい匂い!!」

香油屋「ちょっと運動して汗や皮脂と混じると、微妙に香りが変わってあなただけの香りになるのよ?一時間くらいして、香りが気に入ったら買いに来てね」

魔娘「うん、ありがとう!またね!」



勇者「お、なんかいい匂いにしてきたな。買わなくていいのか?」

魔娘「うん!後で決める」

勇者「じゃあ先に、土産にスパイスとコーヒーを買っていこう」


149: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/02(木)22:07:38 ID:oBz


スパイス屋「イロイロ、ミテッテネーヤスイヨー」

勇者「黒胡椒」

スパイス屋「ハーイ、10万ゴールドネ」

勇者「ちょっと高すぎるな。」

スパイス屋「チョトイテルコトワカラナイネゴメンネー10万ゴールドネ」

勇者「???? ????? ?????」

スパイス専門店で魔娘の知らない言語で値切り始める勇者

魔娘「…。」

ヒートアップする商談

魔娘「…つまんない…」

迷子の子猿「キキッ!」

魔娘「わ、おまえ、可愛いなー!どっから来たのー?」

迷子の子猿「キッ!」

魔娘「あ、待ってー」





勇者「魔娘、待たせたなー」

勇者「?」

勇者「いない…。」




魔娘「あはは、お猿さん待ってー」

子猿「キッキィ~」

バザールから離れて横道を抜け、何やらしっとりした雰囲気の裏通りへ出る魔娘

宮殿のようなデザインの豪華な建物が建っている


>>154
そうかな!
ありがとう、焦らずコツコツやってくよ!


>>155
ありーん


>>156
ありありー


182: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:01:28 ID:6CK

勇者(参った…油断した)

勇者「すまないが、このくらいの女の子が戻ってきたら、ここにいるよう引き留めてくれないか?」

スパイス屋「え?いいよ」

勇者(やっぱりこの人言葉通じてたんじゃないか)


183: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:02:47 ID:6CK

勇者 来た道を速足で戻る

勇者(あぁ、まただ…鉛を飲んだような、この胸の苦しさ…)

勇者回想中

白いドレスを着た姫

姫様「どうかな…?似合う?////」

勇者「…っ…!!」

姫様「なんで黙ってるの?狩り装束の方が好き?」

ドキドキ

勇者「い、いや!」

勇者(綺麗で…言葉が出なかった…)

ドキドキ

姫様「似合うって言って」

勇者「似合う。すごく綺麗だ」

ドキドキ

姫様「えへへ。あなたと結婚出来るなんて本当に幸せ」

勇者「平民の私とだものな…陛下もよくお許しになった」

姫様「伝説の剣を抜いた勇者だもん、当然よ」

姫様(本当は、この人と結婚させてくれなきゃイヤって大暴れしたけど)

チュ

勇者「…姫様…」

勇者(この人を一生かけて守ろう)

ぎゅう


184: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:03:04 ID:6CK

結婚後も、新婚旅行に出かけたり、狩猟デートに出かけたりとアクティブな二人



結婚後半年、ある嵐の夜

バリバリー!

姫と勇者の寝室に雷が落ち、その一瞬に姫は姿を消した

魔王の宣戦布告だった

勇者「姫!?姫ー!!!」

嵐に向かって吼える勇者

勇者「お…おのれ…魔王…!!
私は地の果てまでも姫を救いに行くぞ…!
私から姫を奪ったことを、必ず後悔させてやる…!!」


勇者回想終了



勇者「…。」

勇者(もう二度と、あんな思いは…!!)

勇者 人混みを駆ける


185: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:03:34 ID:6CK

魔娘「あはは、お猿さ~ん」

子猿「キキィ~」

踊り子「あ、子猿ちゃん!良かった、探したのよ」

子猿「キィキィ」

踊り子「もう…遠くに行っちゃダメでしょ?」

子猿「キィ…」

魔娘「お姉さんこの子の飼い主?」

踊り子「うん、可愛いでしょ。
あなた…見ない子ね。こんなところに一人でいて大丈夫?」

魔娘「何が?」

踊り子「何って…この辺はお金持ちの大人が遊ぶ場所なのよ。それとも見習いの子かしら?」

魔娘「??ええと…??」

踊り子「困ったわね。一人じゃ心配だから、お姉さんとおいで」


186: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:04:48 ID:6CK

踊り子たちのレッスン室

踊り子「おはようございまーす」

踊り子A「おはよー踊り子ちゃん」

踊り子B「おはよー!」

踊り子C「おはよーあれ?その子は?」

踊り子「一人で通りをウロウロしてたの。心配だから連れてきた」

踊り子AB「やーん可愛い」

踊り子C「お名前はー?」

魔娘「魔娘」

踊り子C「魔娘ちゃん、いい子ね!大丈夫、こわくないよ。お茶飲む?」

魔娘 ちょっと緊張が解ける

魔娘「うん!」

ゴクゴク、ぷは

踊り子C「誰と一緒だったのー?帰るところわかる?」

魔娘「あ、うん。
勇者と一緒だったんだ。船に帰らなきゃ」

踊り子一同「「ええー!?」」

踊り子A「ちょ!ちょっと!!勇者って、あの勇者様!?」

踊り子B「え!え!マジならちょーやばくない?激アツじゃない?」

踊り子A「ねぇ、勇者様ってやっぱかっこいいの!?」

魔娘「うん。強いし優しいよ」

踊り子B「最高じゃん!やばいじゃん!」


187: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:05:26 ID:6CK


総監督「なんですか騒々しい」

踊り子「あ、監督!この子通りで一人でいたから連れてきたんですけど、勇者の連れだっていうんですよ!」

総監督「えっ?…本当ですか?」

魔娘「うん、勇者と船で来た」

総監督「船で…。」

指導者(確かに、勇者様が船で王国に向かってるって話を支配人から聞いたわ。でも、それだけじゃ…)

総監督「あなた、その方が本物の勇者様って証拠何かお持ちかしら?勇者様の特徴とか言えますこと?」

魔娘「う?むーん、勇者は、すごい強くて…大きい剣を持ってて…」

魔娘 ワタワタ

魔娘のポッケ チャリン

魔娘「あ、この前の港町でくれた金貨」

総監督(王家の紋章入りの金貨…出港した港町の名前も合ってる)

総監督(もしかしたら金貨は盗品かも知れないけど…、もし本当にもうこの街に着いてるなら、支配人に早くお知らせしないと!)

総監督「あなたのお連れ様が本当に勇者様なら、我がスパクラブのおもてなしを受けていただきたいんですの」

踊り子一同「「きゃーっ!!勇者様の前で踊るのっ!?どーしよー!!」」

総監督「お静かに!勇者様は今どちらにおられるのかしら?あなたわかる?」

魔娘「魔娘、勇者のことスパイス屋さんに置いて来ちゃったから…わからない…」

魔娘 オロオロ

総監督「スパイス屋と言っても、この街には100軒以上ありますからね。
船の方に遣いを出すことに致しましょう。
あなたは一度私と支配人のところへ来てくださる?」

色めき立つ踊り子たち

パンパン

総監督「みなさん、今日は柔軟のあと、楽隊が到着したら直ちに本番と同じ流れのリハーサルを始めていて下さい。あたくしは支配人と打ち合わせをし次第、戻ります。」


188: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:08:40 ID:6CK

総監督「支配人。火急を要するお話が」

支配人「むう、午前中は市長だぞ。市長と呼ばんか」

総監督「失礼しました、市長。
先ほどうちの踊り子たちが迷子を連れてきたのですが、どうもその子は勇者様のお連れ様のようで」

支配人「なに!それは本当か!?」

総監督「この子です」

支配人「…!おお…!お名前は?」

魔娘「魔娘」

支配人(8年程前に、新婚旅行に訪れて下さった勇者様の奥様に瓜二つではないか…!!
しかし、勇者様と姫様の間にお子様はおらぬはず…これは…?)


189: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:09:08 ID:6CK

支配人「勇者様と一緒にきたと言うのは本当かな?」

魔娘「うん。魔娘はウソをつかないよ」

総監督「先ほど確認いたしましたが、王国の紋章が入った金貨も持っておりました」

支配人「ふむ、そうか…。
総監督、この子の言っていることは本当であろう。
急ぎ、勇者様を探し出さねば」

総監督「港の方には、全ての王国行きの船便に、迷子を保護したことを伝える遣いを出しました」

支配人「うむ、よろしい。
仕事の早い男よ」

総監督「ヤダー、男じゃなくて、オ・ネ・ェ」

支配人「…。」


190: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:09:17 ID:6CK

支配人「こうしてはおれん。
我が市最高級のスパで、勇者様を歓待させていただかねば。
秘書、今日終わらせねばならない市長の仕事は」

秘書「11時より、伝書鳩新聞社との対談が」

支配人「明日以降に調整し直してくれ。
今日はこれで上がる」

秘書「承りました。」

支配人(ヒーロー好きの血が沸くのう…!なぜ勇者や英雄というものはこう人をたぎらせるのか)

うきうき 支配人

支配人「魔娘ちゃんや、わしの自慢のお店に招待しよう。勇者様も後からいらっしゃるよ」

魔娘「わあ、ありがとう!」


191: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:12:03 ID:6CK


支配人について行く魔娘

絢爛な装飾の施された重い扉

深い艶のある木目調の壁

大理石の床で出来た長い廊下

深い艶のある木目調の壁

その先に、滝が流れている

魔娘(部屋の中なのに、滝?)

支配人「私だ」

滝の水が引き、滝の向こうにモザイク画が表れる

支配人「私の踏むところだけを踏んでついてきて下さい」

滝の手前は一見深い淵に見えるが、水面よりほんのわずか下に透明な細い橋がかかっていて、水の上を歩ける

支配人が進むと、モザイク画が二つに分かれ扉のように開いた

中は絢爛豪華な広いバーカウンターになっていた

黒服の従業員たちが恭しく出迎える


192: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:12:12 ID:6CK



魔娘「わぁ…!」

黒服一同「おかえりなさいませ、支配人」

支配人「うむ。
こちらは私の大切なお客様だ。
ウエルカムドリンクはそうだな、ジンジャーエールがよろしい。
君、このフロアの説明をして差し上げなさい」

黒服A「かしこまりました。
お客様、どうぞこちらにおかけください」

黒服B「ジンジャーエールでございます」

魔娘「ありがとう!」

チュー

魔娘(うひー、口の中バチバチする!でもおいしい!)

黒服A「フロアマップをご覧ください。
ここが現在地、こちらのバーでございます。
このフロアには5つの蒸し風呂と17のプール、3つの岩盤浴と8つのエステルームがございます。
そのほか、ラウンジが7つございまして、ビリヤードやダーツをお楽しみになったり、ベッドでお休みになることがます。
また、こちらのショーラウンジでは、ダンスショーをご覧いただけます。
フルーツやサンドイッチなど、軽食もご用意しておりますので、従業員にお申し付け下さいませ。」

魔娘(…。ダンジョンみたい)


193: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:12:57 ID:6CK


マネージャー「お早いおつきで、支配人。今日はなにかあったのですか?」

支配人「うむ。実は勇者様が今街にいらしてるようだ」

マネージャー「え!勇者様が?」

支配人「探してお連れするようにしている。
到着次第、今日はこのフロアを貸し切っておもてなししようと思う」

マネージャー「6時からスパとエステに他のお客様のご予約が」

支配人「チップをサービスしてカジノにお通ししろ。
ホテルに泊まらせて、部屋にエステティシャンを派遣してもかまわん。」

マネージャー「そのようにいたします」

支配人(勇者様早くお着きにならないかな…)

ワクワク


194: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:13:46 ID:6CK

立ち寄った全てのお店に寄ってから、船に戻ってきた勇者

走ったので汗ダラダラ

勇者(あぁ、船にもまだ戻っていない…)

勇者(まさか…誘拐?)

(ぅえ~ん怖いよ~助けて勇者…)

泣いている魔娘の姿が、攫われて嬲られている姫様のイメージに重なる

鼓動ドッドッドッ

勇者(ゥグ…クソッ!!)

頬をバンバン叩く

勇者(もう一度、街を探してみよう!)

勇者(あの子の、行きそうな場所…多分食物の屋台か、動物のいる所…あ、あの香油屋にはもう一度戻ってくるかもしれない)

勇者(無事でいてくれ、魔娘…!!)

遣いの者「この船に、7~8才の女の子を連れた、男の方が乗ってませんか?」

留守番水夫「あぁ、乗ってるよ。今は街に出てると思うけど…あ、あの人だよ」

遣いの者「あの方が」



猛ダッシュで去って行く勇者


196: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:15:38 ID:6CK



遣いの者「あぁっ、おーい、待ってー!!」

追いかける遣いの者

遣いの者「おぉーい!!待って下さーい!!」

市場の喧騒で声が届かず、開く距離

遣いの者「ちょっと…ッ…止まって…ッ」

遣いの者(脚…早えぇ…!!)


遣いの者「あのっ、ちょっ、迷子の女の子がー!!」

勇者「何か知っているのか!」

遣いの者(耳良っ!!)

ガシ!

勇者「私はその子の保護者だ!その子はどこに!?無事でいるのか?!」

遣いの者「わ、わ、落ち着いて下さい!
お嬢さんは、市庁舎の方で、保護しております。
あなたが勇者様ご本人でいらっしゃいますか?」

勇者「そうだ!…市庁舎…?」

遣いの者「本物の勇者様!!ご案内させていただきます、あ、僕遣いの者っていいます、握手してください」

勇者(なぜ市庁舎に…??)

勇者混乱中ニギニギ

勇者「も、もういいか?案内、頼む」

遣いの者「あ、はいすみません、こちらです」


197: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:16:27 ID:6CK


プールサイドに座ってスイカを食べている魔娘

勇者「…魔娘っ!!」

魔娘「あ、勇者ぁ!!」

タタッ

ぎゅう…

勇者「無事か」

魔娘「うん」

勇者「そうか…」

魔娘「迷子になっちゃったな、勇者…心配したんだぞ…?」

勇者「…。」




198: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:17:20 ID:6CK


勇者「迷惑をかけてすまなかった、ありがとう」

支配人「いいえ。
勇者様に立ち寄っていただいて、従業員一同とても光栄です」

マネージャー「ただいまこのフロアは勇者様とお連れ様の貸し切りとさせていただいております。
せっかくですから、お時間の許す限り、おくつろぎになっていって下さい。」

勇者「いや、ご好意は感謝するが…」

魔娘「勇者はあんまりお金がないから、ここでは遊べないよ」

支配人「ははは、そんなものは要りません。
こちらの施設は、我が街の誇り。
ここまで来ていただいて、ご利用いただかないのは、それこそ恥というものです」

マネージャー「世界を救うという偉業を成し遂げられての凱旋の旅、ぜひ当館にて疲れを癒して下さい」

魔娘「よかったな、お金いらないってさ」

勇者「では、夕方の出港までここで世話になろう」

魔娘「わーい!!なぁ勇者、いろんな部屋があるから探検しよう!!」


199: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:18:28 ID:6CK


サウナ

魔娘「勇者、この部屋暑すぎるな」

勇者「そういう風呂なんだよ」

魔娘「この真ん中にある焼けた石にこの水をかければいいんだな」

勇者「あ、それは」

じゅうう…じゅうう…蒸気モワッ

魔娘「あはは、余計暑くなった!」

勇者「たまらんな」

魔娘「あ、ほら勇者、タオルで仰ぐともっと暑いぞ」

勇者「うむ、暑い」

魔娘「…。」

バタン

勇者「魔娘ー!!」


200: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:19:54 ID:6CK


魔娘「あはは、なんか転んだ」

勇者「…。」

魔娘「はぁー、暑かった!
勇者次はこっちの部屋!」

雪が降り積もる部屋の真っ白なプール

魔娘「ひょー!!!ふわふわ!!つめったい!!」

勇者(金持ちの考えることは理解不能だ…)

ぱふ

勇者(あ、でもヒンヤリ…気持ちいい)

魔娘「さぶい!!」

勇者「ラウンジで休憩するか」


201: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:20:21 ID:6CK

ショーラウンジ

観客席にも七色に輝く噴水の出るプールがある

魔娘 浮き輪でプカプカ

魔娘「楽しい!」

観客席のソファでくつろぐ勇者

部屋の照明がゆっくりと暗くなり、噴水のイリュージョンが変化する

同時に音楽が鳴り始める

生演奏にあわせて踊る、煌びやかな踊り子たち

子猿の飼い主のお姉さんを見つけて、一緒に踊る魔娘

ゆったりと見ている勇者


203: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:21:48 ID:6CK


支配人「シャンパンはいかがですかな?」

勇者「これはこれは、支配人自ら…。
いただこう」

キュポン!!トクトクトク…シュワー

透明な泡の向こうに、踊り子や魔娘がキラキラとうつる

勇者「…。」

支配人「奥様に、そっくりですね」

勇者「!!」

支配人「8年前、奥様と新婚旅行に来られたとき、私の経営するに泊まって下さったのを覚えていらっしゃいますか?」

勇者「…あぁ、やはり、あの時の…どこかでお会いしたと思った」

支配人「一目ではわからないのも無理はありません。
あの時の私のホテルは、ゲストルームがたった二つしかない、小さなホテルでしたから」

勇者「でも、妻はたいそう気に入っていた」

支配人「ありがたいことです。
お二人にお泊りいただいたことで、口コミ人気が高まりまして、規模を拡大し街の娯楽施設とも協力して、ここまでになりました。
市への貢献が認められ、市長選にも担がれました」

勇者「それは貴方の功績だ」

支配人「いいえ、あの時姫様がわしと妻のこころばかりのおもてなしを、喜んでくださったから、ここまで頑張ってこられました。
もう一度、お会いして感謝を伝えたかったのですが…」


204: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:22:37 ID:6CK

勇者「…。」

ウルウル

支配人「優しい方でしたね」

勇者「…ええ…。」

支配人「わしも、妻に先立たれました。」

支配人「ここまでずっと支えてくれたのは他でもない彼女なのに、わしは、仕事仕事で、妻の身体の異変に気づくことが出来なかった。
感謝を伝える間も無く、妻は亡くなりました。」

勇者「…私も…」

勇者「私も、1番救いたかったものを救うことが出来ませんでした…。
何より、助けたかったのに…」

ブルブル…

勇者「こんなに、世界は美しいのに、私の愛した人はいない。
虚しくて…狂いたくなる時が…あります」

支配人「…。」

音楽に合わせて、楽しそうに踊っている魔娘

勇者の方を見るも、客席の方が暗いため、勇者の表情に気づかず、ニコニコと手を振る


205: 名無し◆5kCZD0UbLM 2015/07/03(金)23:23:42 ID:6CK


支配人「わしも、そうでしたよ。
妻のいないこのホテルを、抜け殻のように感じた日々がありました」

勇者「…。」

支配人「けれど、今のわしには、妻が今でも見守っていてくれるように感じるのです。
わし一人の幸運では、このような成果は達成出来なかったでしょうから。」

勇者「…。」

支配人「わしには、あの子が勇者様の奥様からの、伝言のように感じますよ。
あなたに、また幸せに笑ってほしい、と」

勇者「…ありがとう…。」


231: 名無し 2015/07/04(土)23:21:39 ID:juv

航海15日目

魔娘「勇者、なんだろうあれ」

勇者「?」

魔娘「今海の中に誰かいた」

勇者「…イルカかな?」

魔娘「ううん、女の人みたいだった」

勇者「…まさか。こんな海の真ん中で…」

魔娘「あ、ほら。またはねた」

勇者「イルカより小さいな。カマイルカか?」


232: 名無し 2015/07/04(土)23:22:03 ID:juv



ほら吹き乗客「珍しいもの見れたな。さっきの、あれは人魚だよ」

魔娘「人魚?」

勇者「上半身は人間で、下半身は魚の生き物だ。本当にいるのか…」

魔娘「へー!魔物の仲間か?」

勇者「どっちだろう…私も初めて見た」

ほら吹き乗客「深い海にしか住んでいないからな」

勇者「魔物なのだろうか?」

ほら吹き乗客「いや、魔王の瘴気が酷くなってから姿を見せなくなっていたから、多分違うんだろう」

勇者「人を襲うと聞いたことがあるが」

ほら吹き乗客「襲うというより、歌を歌って誘い、海にひきずりこんでしまう、というのが正しい」

魔娘「ひきずりこんで…どうするの」

ほら吹き乗客「気に入れば結婚して、深い海の底で一緒に暮らすんだよ」

魔娘「へー!」

魔娘(結婚かぁ…)

ほら吹き乗客(人魚が本当にいる夢をみたから、一応言ってみた^ ^)

水夫C「コラ、船の上で人魚の噂をするんじゃない」

魔娘「え?なんで?」

水夫C「あいつらは歌で嵐を呼ぶんだ。不吉だから、船乗りの間では禁句なんだぞ」

魔娘「そうなんだ。ごめんなさい…」

水夫C「気をつけてね」


233: 名無し 2015/07/04(土)23:23:13 ID:juv

航海20日目 夜中 船室

魔娘 勇者 スヤスヤ



魔娘「…。」



魔娘「…?」

もぞ



魔娘「…!!」

もぞもぞ

魔娘「勇者、起きて起きて」

勇者「ぅん…なんだ?しっこか?」

魔娘「ち、違う違う!なんか変な音がするんだよ!」

勇者「…?」



勇者「…。」

勇者「本当だ」

魔娘「甲板に出てみよ!」


234: 名無し 2015/07/04(土)23:23:25 ID:juv

甲板


勇者「なんの音だろう」

魔娘「声だ…聞こえる?なにか言ってる」

当直の水夫「おー、魔娘ちゃん、起きたのかい。
夜の海風は冷えるよ、寝床に戻りな」

魔娘「なんか変な声がするよ」

当直の水夫「声…?聞こえんなぁ…。
大方、満月が明るすぎて寝ぼけたカモメが鳴いたんだろう」

魔娘「そうかなぁ…」

勇者「…。魔娘、冷えるから船室に戻るか」

魔娘「うん」


235: 名無し 2015/07/04(土)23:24:06 ID:juv

船室

ギイ ギイ ギシ ギシ

魔娘「勇者…」

勇者「どうした?」

魔娘「なんか、このまま船を進めちゃいけない気がする」

勇者「…?どういうことだ」

魔娘「誰かが何か言ってる。止まれって言ってる気がする」

勇者「朝になったら、船長に言ってみよう」

魔娘(それじゃ遅い気がする…)


236: 名無し 2015/07/04(土)23:24:50 ID:juv

30分後 船室 大きく揺れ始める

魔娘 スヤスヤ

勇者「魔娘、起きなさい。時化てきたようだ、一応救命胴衣を着ておこう」

魔娘「ぅ…、ん…。」

勇者「ほら、着て…」

きせきせ

魔娘 むにゃむにゃ…ぐぅ…

布団かけかけ

勇者「…。」

勇者「…?何かおかしい」

勇者「外は…満月だ」



ガチャ バタン




237: 名無し 2015/07/04(土)23:25:22 ID:juv

操舵室

勇者「船長、この揺れは…?何かあったのではないか?」

船長「む、勇者くん、やはり気になるか」

勇者「…異変なのか?」

船長「今航海士と相談していたのだ。夜空には雲一つないというのに、波が嵐のように高いのだ」

航海士「計器には異常ありません。気圧も変化なし。勇者さん、何か思うところがあるのですか」

勇者「いや…何の確証もない、だが進路を変えたほうがいいように思う」

船長「進路を変えるにしても、原因がわからないのでは、回避しようがないな」

勇者「アンカーを下ろしてやり過ごすことは出来ないのだろうか」

航海士「この辺は非常に深いので、アンカーはないよりまし程度にしかなりませんよ」

勇者「近くに島は?」

航海士「南に進路をとると、環礁海域です。しかし、浅い砂地が多いので、夜間の航行は困難です」

突然、大きく揺れる

船長「やはりおかしい。仕方がない…進路を南にとろう」

航海士「アイサー。面舵いっぱい」

勇者「連れが心配なので失礼する」

船長「頭をぶつけないように気をつけて戻ってくれ」


238: 名無し 2015/07/04(土)23:25:48 ID:juv

船室

ガチャ

勇者「…魔娘?」

勇者(いない…起きたら私がいないので探しに出たのか?)




そのころ マスト上見張り台

魔娘「よいしょ、よいしょ」

老水夫「うん…?ありゃ!?魔娘ちゃん?!
危ないじゃないか、なんでこんなところに…!!」

魔娘「おー、遠くまでよく見える」

老水夫「さっきから変な揺れが続いとる、振り落とされたら大変じゃ、早くもどんなさい!」

魔娘「なぁじっちゃん、あの波の向こうに光ってる何か、見える?」

老水夫「む?なんじゃって?」

望遠鏡を向ける老水夫

老水夫「うーむ…!本当じゃ、何か光っとる」

魔娘「魔娘にも見せて!」

望遠鏡を借りて覗く

魔娘「女の人だ、こっちへ来てって言ってる」

老水夫「ほ、本当か…?わしには光の点にしか見えんが」

魔娘、下を見る

魔娘「あ、勇者だ。じっちゃん、魔娘降りるけどお仕事気をつけてね」

老水夫「危ないから気をつけての!」


239: 名無し 2015/07/04(土)23:26:39 ID:juv

甲板

魔娘「勇者!」

勇者「魔娘、すまんな、置いてでてしまって」

魔娘「ううん。それより勇者、さっきにんぎ…」

魔娘(あ、人魚のはなししちゃだめなんだっけ)

勇者「どうした?」

魔娘「海に光る何かがいて、こっちへおいでって言ってたよ」

勇者「…!?どっちの方向に?」

魔娘「あっち」

勇者(さっき進路を切った方だ)

魔娘「勇者にも、歌みたいな声みたいな音聞こえない?」

勇者「…。」



勇者「聞こえる気がする」


240: 名無し 2015/07/04(土)23:27:39 ID:juv

操舵室

船長「だいぶ揺れが収まってきたな」

航海士「難しいのはここからです、浅瀬に乗り上げないようにしないと…」

伝達管「見張り台から操舵室へ、船の進行方向に光を確認」

船長「光…?」

航海士「環礁海域には、人は住んでいないのに…」

伝達管「光が流れてきます、ああこれは…ウミホタルの光に似ています」

船長「今はウミホタルの時期じゃない、何の光であろうか?」

伝達管「わかりません、二本のすじのように流れています」

航海士「船長、ウミホタルは波打ち際で光る習性があります。
二本のすじの間を進めば、砂浜に乗り上げないで進めるかもしれません」

船長「…。時期ではないのに…不思議なことだ。我々も目視で確認しよう」

航海士「はっ!」

船長と航海士、ランプを消して暗い海を見る

青白く、星のようにひかる二本の帯がみえる。

船長「操舵室より全部署へ、二本の線の間をとおるよう、慎重に船をすすめよ」

当直水夫たち「あいあいさー」


241: 名無し 2015/07/04(土)23:28:15 ID:juv

甲板

魔娘「勇者、海が…きれい!!」

勇者「星空を進んでいるみたいだな」

青白く光る宝石をちりばめたような海の線の間を、帆船が器用に通っていく

…ウフフ…

魔娘「あ、もう大丈夫なんだ、こうして進んで行けば大丈夫って」

勇者「うむ…、私にもそう聞こえた」

波もだんだん収まっていく

魔娘「もうすぐ朝だね」

うす紫色に染まっていく空

青白い光は弱くなっていく

魔娘「きれいだったのに、消えちゃうね」

勇者「あぁ…」

東の空に明るい桃色の光が射していく


242: 名無し 2015/07/04(土)23:29:05 ID:juv

操舵室

船長「航海士、外をみたまえ、船は無事環礁海域を抜けたようだ…」

航海士「ええ、こんなに浅瀬が近いのに…乗り上げなかったのが奇跡ですね。あの光が導いてくれていなかったら、乗り上げていたことでしょう」

どたたたた!!

見習い水夫「せ、船長!!我々の来た方向に、あ、脚が!!」

船長「見習い、落ち着いて話せ」

見習い水夫「と、とにかく、外に出て見てみて下さい!!」

操舵室から出て、船の来た方向を見る船長たち

ボロボロの、船よりデカいイカの脚が一本浮いている

船長「なん、だ、あれは…!!」


243: 名無し 2015/07/04(土)23:29:31 ID:juv

甲板

魔娘「あっ!見て勇者!」

船から見て東の、太陽の光がさしてキラキラ輝く中に、何人かの人魚

勇者「…!!」


…船、難破しなくて良かったね…

…お化け鯨と大王イカが、ケンカして暴れてたのよ…

…私たち、役に立てて良かったわ…

魔娘には、そう聞こえた気がした

魔娘「ありがと~!!!」

太陽の光の反射の中、人魚たちは一度だけ跳ねて、また深い海の底へ帰って行った


271: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)22:22:02 ID:TNx


航海20日目

海峡にある中継港を一つ経由して、船は大陸と半島に挟まれた細長い海域へ進む

魔娘「さっきからずーっと陸が見えるなー」

勇者「大陸に沿って船を走らせているからな。」

魔娘「あっ!ねぇねぇ勇者、あそこにすごい三角の山があるよ!」

勇者「ピラミッドだ。山じゃなくて、人間が大昔に作ったお墓だよ」

魔娘「うおー!デカいお墓だ!」

魔娘「あっ、勇者ほら、見えるか?馬が一列に並んで歩いてるよ」

勇者「遠くて見えんが…多分ラクダのキャラバンだろう」

魔娘「おーい、おーい!」

手を振る魔娘


272: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)22:22:53 ID:TNx


水夫A「魔娘ちゃん、目が良いんだね~」

魔娘「水夫のあんちゃん!」

水夫A「この辺りは海賊ていう悪いヤツらが出るから、怪しい船を見かけたら教えてね」

魔娘「悪いヤツいるのか…うん、分かった」

水夫A(まぁ、よっぽどの不運じゃなければ、襲われたりしないけどね。襲われたときに放ってやるための食料袋もあるし…)

水夫A「ヤツら、女の子がいたら攫っちゃうかもね~」


水夫A妄想中

魔娘「え~っこわいよ…、どうしよう、あんちゃん…」

水夫A「大丈夫、魔娘は俺が守ってやるよ?」

魔娘「あんちゃん、ありがとう?大好き??」

水夫A妄想終了


魔娘「でも勇者がいるから大丈夫だろな!」

水夫A「…うん…だよね…」




勇者(この海域を抜けて運河を通れば、世界最大の内海。
しばらくは嵐と無縁の航海になりそうだな)

勇者(北の外海に出れば、王国までは3日。季節嵐の時期だが、なんとかなるだろう)

穏やかに船は進んでゆく


273: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)22:24:15 ID:TNx



航海21日目の深夜

非常事態を報せる警鐘がけたたましく鳴り響く

勇者「魔娘は部屋にいなさい。中から鍵を閉めて、私が戻るまでベッドの下に隠れていなさい」

魔娘「…!?いやだ、勇者!!魔娘も行くよう!!!」

外からモップの柄をつっかえて、部屋に閉じ込める勇者

魔娘「やだよー!!一緒に行くようー!!」

勇者、剣を携えて船室を後にする


274: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)22:24:50 ID:TNx


勇者甲板に出る

帆船の周りには機動力に優れた小型船が6艘、並走している

勇者「海賊か」

当直以外の水夫たちも、大砲や戦闘の準備に取り掛かっている

こうして威嚇の姿勢を見せれば、船は囲まれるだけで、大抵の場合攻撃はされない

相手も生活のための出稼ぎだから、不必要な戦闘は避けたいはずなのだ

通常、しばらく睨み合ったのち、水夫たちは食料や金貨のはいった袋を海へ投げ入れる

海賊たちがその袋を受け取れば、船は無事解放される…そういう流れが一般的だった


しかし、小型船はグイグイとその距離をつめてくる

水夫たちに緊張が走る

体当たりするつもりなのだろう、小型船の船首には、鋼鉄製の衝角が取り付けられているのが見える

ついに射程距離内に接近し、火のついた矢が何本も射られた

帆に小さな火の手が上がった

船長「砲撃用意!!」

船長「撃てー!!」

暗い夜の海に、水柱が立った

6艘のうち2艘は船体に命中し、傾き始めている

砲撃を免れた四艘から、縄梯子が次々と投げあげられた

また、何本ものロープに掴まり海賊たちが乗り移ってくる

甲板は、一気に戦場となった


275: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)22:25:32 ID:TNx



普段戦闘に慣れていない水夫たちに、海賊たちが襲いかかる

混乱を極める戦闘に身を投じながらも、勇者はある違和感を覚えた

めちゃくちゃな太刀筋の海賊たちの中に、何人か、兵士の教育を施されたであろう身のこなしの者が混じっている

勇者(…これは一体…どういうことだ…!?)

意味深な状況にいぶかしみながらも、勇者は襲い来る海賊たちを鬼神のごとき強さでなぎ倒していく

勇者(…。)


276: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)22:26:58 ID:TNx


勇者(…。)

スゥッ

勇者「腰抜けの海賊ども!」

ビリビリと、勇者の怒号が船上に響き渡る

勇者「私は魔王を倒した男だ!
己の腕に自信のあるものはかかってこい!!」

勇者の周りに、何人かの海賊が群がり、剣戟がとぶ

勇者(やはり、こやつらは手練れの剣士だ)

勇者(狙いは私なのか…しかし何故?)


277: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)22:27:34 ID:TNx

67

魔娘「勇者!!後ろ!!」

すんでのところで、飛んできた毒矢を避ける勇者

勇者(魔娘…!!部屋にいなさいと言ったのに…!!)

駆け寄ろうとする勇者、しかし何人もの手練れに四方から攻撃を浴びせられなかなか移動できない

毒矢を射た弓の使い手は、今度は標的を魔娘に変えた

勇者「やめろぉっ!!」

必死に魔娘を庇おうとするも、矢と魔娘の間に入るのに間に合わない

ドッ!!

毒矢は手の甲に刺さった


287: 名無しさん@おーぷん 2015/07/05(日)23:53:51 ID:TNx


魔娘「…!!じっちゃん!」

老水夫「うぐぅ…!」

魔娘「じっちゃん!動くな、今縛るから…」

スカーフ シュル

老水夫「…魔娘ちゃん、じっちゃんは平気だから…船の中に」

ギュ、ギチッ

魔娘「ごめんな、ごめん…魔娘のせいで…医務室に行こう」

老水夫の肩を支えて、甲板に背を向ける魔娘

後を追おうとする海賊

それを見て勇者リミッターが外れる

勇者「うおぉおぉっ!!!」

囲んでいた者たちを次々に切り捨て、怯んで背を向けた海賊にも容赦無く太刀を浴びせる

魔娘と老水夫に襲いかかった海賊は、後ろから脇腹を刺されてこと切れた



静寂と引き換えに、おびただしい死体と血の海が出来上がった




次の話シリーズ
魔王の娘「よくも父上をころしたな!」死にかけ勇者「…。」改訂3




魔王の娘「よくも父上をころしたな!」死にかけ勇者「…。」改訂
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1435584938/
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。